「ねえ……この日にもしも世界が終わるなら、最期に何がしたい?」
カフェでお茶してると友達が不安そうな声と共にスマホを見せてきた。
それに表示されているのは巷で騒がれている終末予言。
私はそんなのちっとも信じてない。むしろそんなの信じるなんてバカバカしいとさえ思っている。
だけど友達にそんな本音は言えない。何を信じる、信じないは個人の自由だから。
「別に……普通に過ごすかな。あ、でもちょっと美味しいものは食べるかも」
「……やっぱり信じてるんだ」
「え? 違う違う。その日は推しの誕生日だから美味しいもの食べたいってだけだよ」
「ふーん……」
友達はしばらく考え込むような仕草をした後、おもむろに口を開いた。
「その日さ、お泊まりしていい? 私もその推しの誕生日祝いたいの」
「いいけど……たぶんあなたの知らないキャラだよ?」
「それでもいいの。どうせ終わるのなら楽しい気分で終わりたいから」
そう言う友達の目は本気だった。
ならば私も本気で誕生日会をしよう。
普段飲まないお酒を飲んで良いケーキだって買っちゃおう。
最終的にどんちゃん騒ぎになって、次の日二日酔いとかになったとしても、それはそれでとても良い思い出になるはず。
ああ、その日がすごく楽しみになってきた!
おしゃれは足元から。……という言葉を耳にしたことはあるだろう。
おしゃれに疎い私でさえも聞いたことがある、一種の慣用句のような言葉だ。
確かに可愛い靴、カッコいい靴を履いていると気分も上がるし、靴に合わせてちょっとコーディネートをしてみようかという気分にさせてくれる。
しかし時には自分ではなく、靴をコーディネートしてみるのはどうだろう?
例えばスニーカーの靴紐を変えてみる、結び方を変えてみる……など。
スニーカーの靴紐は一色のものしかないと思い込んでいたが、調べてみるとグラデーションのものだったり柄がついていたりと様々なものがあった。
そして靴紐の結び方にも様々なアレンジがあり、おしゃれなものからすごいと思ってしまうものまで色々な結び方が紹介されていた。
例を挙げると靴紐で☆を作る結び方やファスナーみたいな結び方、格子のように見える結び方……など。
これらを覚えて実践できたら注目されること間違いなし……かもしれない。
時間と心に余裕があって気が向いた時にやってみようかな……とちょっと思った。
いつ気が向くのかの見通しは立ってないけども。
なぜ人は「あれしないとな〜」と思い浮かんだ時にやらないのか。
大抵忘れるのに、なぜ後回しにして後悔してしまうのか。
その答えは、まだわからない。
……ポ◯センのswit◯h2同梱版ZA予約するの忘れたよーー!!
気づいたのついさっきだよーーー!!!
……発売日までに手に入るかな、sw◯tch2……
センチメンタル・ジャーニーといえば「伊代はまだ16だから〜♪」が真っ先に思いつく。
思いつくだけで懐かしいとかそういう感情は一切ない。世代じゃないし。
それはさておき、ちょっと早い大掃除……という名の部屋の整理整頓をした。
押し入れの奥から出るわ出るわ忘れていた懐かしいものたちが。
「こんなのあったなー」「このジャンルにハマってたなー」と思い出に浸りながら断捨離をしていくと、隅の方にピンクのリボンでラッピングされた白い箱があった。
何を入れたのか、なぜリボンをかけているのか全く思い出せないそれを開けると、振袖を着た私が両親と共に写っている写真が入っていた。
写真の裏には『◯◯年 (私の名前)成人式』と祖母の字で書いてあった。
そこまで見て思い出した。これは祖母のものだと。
数年前、「あなたが主役の写真なんだからこれはあなたが持ってなさい」とそれまで祖母が大事に大事に持っていた写真を私に渡したのだ。
それで私は「せっかくだから箱に入れてリボンでラッピングしよう」とたまたま持っていたピンクのリボンをつけたのだった。
……すっかり忘れていた。どうして忘れていたんだろう。覚えていれば棺の中に入れたのに……
鼻の奥がツンとなるのを感じながら感傷に浸る。
祖母との思い出はひどく甘美で、そしてまだ辛い。
表面上は癒えていても、奥底では傷ついているのだろう。それでも想うことを止められない。
これもまたセンチメンタル・ジャーニー……感傷旅行の一種なのだろう。
使い方が違うとは思うが、今はそう思っている。
帰宅途中に空を見上げると、絵に描いたような見事な三日月が浮かんでいた。
これは早く帰って知らせねば、と僕は歩みを早くする。
家に帰ると愛しい愛しい僕の君……黒猫のムーンちゃんが出迎えてくれた。
「ただいまムーンちゃん! ねえねえ聞いてよ、今日は三日月がすっごくキレイなんだよ!
あっもちろんムーンちゃんの方が麗しいしとってもキレイなんだけどね!」
それを聞いたムーンちゃんはあくびをしてからゆっくりと居間へと歩く。
そしてムーンちゃん専用となっている出窓へ飛び乗りじっと月を見上げていた。
「キレイでしょー? 三日月ってなんでこんなに心惹かれるんだろうね?
もちろん僕はムーンちゃんにメロメロなんだけどね!」
ムーンちゃんはニャアと一鳴きしてそっぽを向く。
ちょっとつれないところもあるけど、それもまたムーンちゃんの魅力。
「我が愛しの君と見上げる月…🌙←あんな形の舟に乗って星の海を航海してみたいな、なんてね!」
三日月を指差しながら言うとムーンちゃんはまるでチベットスナギツネのような目をして出窓からさっさと降りていった。
ちょっと言葉チョイスがロマンチストすぎたかな?
でもいつかムーンちゃんと一緒に星の海……宇宙に行きたいのは本当だからなあ……
もっと直球で言ってみようか! よしそうしよう!
「ムーンちゃ〜〜ん!」
そしたらなぜか引っ掻かれました。うーん……なんでだろう……?
はっ、まさかツンデレ!?
ムーンちゃんってば……! も〜〜〜好きっ!!