バスクララ

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センチメンタル・ジャーニーといえば「伊代はまだ16だから〜♪」が真っ先に思いつく。
思いつくだけで懐かしいとかそういう感情は一切ない。世代じゃないし。
それはさておき、ちょっと早い大掃除……という名の部屋の整理整頓をした。
押し入れの奥から出るわ出るわ忘れていた懐かしいものたちが。
「こんなのあったなー」「このジャンルにハマってたなー」と思い出に浸りながら断捨離をしていくと、隅の方にピンクのリボンでラッピングされた白い箱があった。
何を入れたのか、なぜリボンをかけているのか全く思い出せないそれを開けると、振袖を着た私が両親と共に写っている写真が入っていた。
写真の裏には『◯◯年 (私の名前)成人式』と祖母の字で書いてあった。
そこまで見て思い出した。これは祖母のものだと。
数年前、「あなたが主役の写真なんだからこれはあなたが持ってなさい」とそれまで祖母が大事に大事に持っていた写真を私に渡したのだ。
それで私は「せっかくだから箱に入れてリボンでラッピングしよう」とたまたま持っていたピンクのリボンをつけたのだった。
……すっかり忘れていた。どうして忘れていたんだろう。覚えていれば棺の中に入れたのに……
鼻の奥がツンとなるのを感じながら感傷に浸る。
祖母との思い出はひどく甘美で、そしてまだ辛い。
表面上は癒えていても、奥底では傷ついているのだろう。それでも想うことを止められない。
これもまたセンチメンタル・ジャーニー……感傷旅行の一種なのだろう。
使い方が違うとは思うが、今はそう思っている。

9/15/2025, 2:55:57 PM