バスクララ

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9/4/2025, 1:26:26 PM

どうしても母に言えなかった。
だけど言えば良かったという後悔が胸を締め付ける。
見間違いだと思っていた。必死にそんなことないと信じ込もうとしていた。
だけど思い返せば思い返すほどやっぱりそうなんじゃないかと思うようになった。
帰ってきたら母に何と言おう。それとも気づきませんでしたとシラを切ろうかな?
それとも堂々としてたから服が前後ろ反対だと私も後で気づいたと言おうかな?
まあどうしたって言い出せなかった「事実」は消えないから何を言っても怒られるんだろうけど……
ああ……憂鬱だなあ。

9/3/2025, 1:09:30 PM

秘密だと思えば思うほど誰かに言いたくなる。
秘密だと言えば言うほど誰かに認めてほしくなる。
だけど、本当に我慢しなきゃ。
誰かに知られてしまったらきっと怖い目にあってしまうもの。
そうなれば彼は帰るべき場所に帰らなければならない。そしてもう二度と会えなくなってしまう。
それだけはイヤ。彼と私はやっとこうして一緒に暮らすことができたんだもの。
私のエゴでこの幸せをふいにするなんて、そんな愚かなことしないわ。
いろんな枷に雁字搦めだった彼。私と会うのにも人目を忍ばなくちゃいけなかった。だけどもうそんな心配しなくていい。
元から色白で細かったけど今はもっと白く、もっとスリムになった。スマートになった彼もカッコいいわ。
でも不満なのが彼の声が聞けないことと私の手料理を食べてくれないこと。まあそれはしょうがないけどね。
でもずっとずっと一緒よ。誰にも渡さない。
私のあなた。永遠に愛してるわ。
絶対に誰にも話さない。悟らせない。私のsecret loveを貫き通してみせるから、見ていてね。

9/2/2025, 1:44:20 PM

自分ではよくわからないが、我が家は居心地が良いらしい。それもとてつもなく。
実家のような安心感という冗談がネット上で溢れかえっているが、友達、しかも複数人から超イイ笑顔でそれを言われた時には思わず私は真顔になった。
自分ちはよくある普通の家なのに……と思っていたからだ。
そして誰かが我が家を『魔性の家』と呼び始め、いつしかそれが通称になってしまった。
さて、その魔性の家にて熱心に本を読んでいる女友達が一人。
しかもその本は先日発売されたばかりのミステリー本。
自分の家で読めばいいのに「魔性の家の方が集中できるから」とわざわざうちに来て黙々と読んでいる。
なんだかなあと思いつつ有り合わせのお菓子とジュースを出すも友達は集中しているのか気づきもしない。
読了するまでに時間がかかるだろうと踏んで、私はノートパソコンを立ち上げ趣味の小説を執筆する。
ページをめくる音とキーボードを打つ音だけが室内に響く。
やがて友達が伸びをしている姿が目に入り、読み終わったのだなと察した。
でも私が口を開く前にまた友達は本を開きパラパラとめくる。
おそらく張り巡らされている伏線を回収する旅に出たのだろう。
まだしばらくかかりそうだなあと思うと同時にジュース絶対ぬるくなってるなあとも思う。
まあいいか。別に炭酸じゃないし。冷たいのが飲みたいなら氷を入れれば済む話だし。
そう考えながら私はパソコンに向き直るのだった。

9/1/2025, 2:26:04 PM

「行くかぁ、夏の忘れ物を探しに」
「……は?」
 二学期の始業式から帰ってきてそうめんを食べ終えた中二の弟がそう言った時、ついに頭がイカれてしまったのかと思った。
 今日から9月とはいえ、外気温は35℃を超えている。
 残暑と言うには暑すぎる。というかまだ夏だろうと思わなくもない。今日が8月32日と言われても驚かないぞ私は。
 それはともかく、弟はいつものカバンに財布とお茶を入れて外出の準備をしている。
 私はそんな弟におそるおそる声をかけた。
「えっと……どこ行くの?」
「ん? 夏の忘れ物を探しに」
「ごめん意味がわからない。私にわかる言葉で言って」
 弟は腕組みして何か考えた後、何か言葉が見つかったのか少し嬉しそうな顔をして口を開いた。
「セミとかカブトムシとかひまわりとか、夏といえば! みたいなものを探してくる」
「……探して、どうするの?」
「んー……今日から秋だよって教える?」
「なんで私に聞くのよ。というか外めちゃくちゃ暑いんだから秋って言っても信じないわよきっと」
「そうかもしれないけど、夏が忘れていったんだからちゃんと教えなきゃダメだと思うんだよね」
 弟の言い分に首を傾げていると弟は「いってきまーす」と元気よく外へ出ていった。
 残された私は弟の意味のわからない言葉を反芻しつつ、これが中二病か……? と頭を抱える。
「なんか想像してたのと違うんだけど……」
 まあでも、痛々しいファッションとかこっ恥ずかしい言動とかじゃなくて良かった……のかな?
 それはそれとしてしばらくは弟の言葉を翻訳しないといけないのかぁ……

8/31/2025, 2:16:20 PM

今日は特別暑かった。そんなことを思いながらゲームをする8月31日、午後5時の私。
8月31日といえば夏休みの宿題に追われているイメージはあるが小学校時代の私はどっしりと構えていた。
宿題が全て終わっていたわけではない。むしろ全く終わってなかった。
宿題をやらずに遊び倒していたのだ。
親から叱られることも先生に怒られることも周りから嘲笑を受けることもわかっていたが、それでもやらなかった。
やる意味がわからなかった。そんなものをしなくても生きていけると本気で思っていた。
だから小学校6年間、宿題をやらずに卒業した。
たぶん2〜3年くらいは語り継がれてたであろう。ある意味伝説だ。
まあ今となってはただの負の武勇伝でしかないのだが。
もし、過去の自分に声をかけるなら宿題はちゃんとやれと言いたい。
頭が良くなるだとか将来のためだとか、そんな一般論を押し付けたりはしない。
ただ、宿題という簡単な〆切すら守れない人間だと失望され、努力をしない人だと、やりたくないことから逃げる人だと勝手に思われる……そんな人生を生きたいか? と説いたいだけだ……

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