空に向かって飛び立とうとする友達の背中を私は黙って見つめる。
止める権利は私にはない。
友達がそれを強く望んでいるから。
下を見るのも嫌な高さだ。落ちたらきっとひとたまりもない。
……よくこんなことを決心して、しかもあんなところを恐れずに立てるなあと半ば呆れながら私は周りから聞こえてきたカウントダウンを小声で唱える。
『5、4、3、2、1! バンジー〜〜!!』
友達が落ちていき楽しそうな絶叫が響く。
次は私の番だけど、落ちる恐怖を想像したら血の気がサーッと引いていくのを感じた。
……強く誘ってくれた友達には悪いけど、やっぱ怖いからやめとこ……
スタッフさんに声をかけて私は階段をそろりそろりと降りていくのだった。
今では仲の良いあの子も最初から友達だったわけじゃない。
はじめましてと挨拶してそれから仲良くなっていった。
新入生、新社会人の人たちも、これからはじめましてをたくさん言うことだろう。
ここで紡いだ縁はこれから先あなたにとってかけがえのないものになると私は信じている。
あなたの紡ぐ縁、そして人間関係がより良いものでありますように。
今日で職場を去る人がいた。
生活圏が違うからおそらくもう会えないだろう。
そう考えると少し寂しいが、家庭の事情なら仕方がない。
そう思いながら歩いていると、子供たちがまたね! と手を振ってそれぞれの家路に帰っていくのを見た。
……もしまた会いたいとか、会いましょうとか未来に繋がる言葉を言ったらあの人は笑って頷いてくれただろうか?
私が勝手に諦めただけではないだろうか?
そんなことを今更考えても詮無いことだが、そんな未来があっても良かったなとは思う。
今私があの人に願えるのはただ一つ。
あの人が幸せでありますように。
春風とともにやってくるのは花粉と黄砂とPM2.5……
ロクなものがない。
ここでロマンチックなことを書けたらどんなに素晴らしいだろうと思うが、生憎私はこれと某ピンクの悪魔しか思いつけなかった。
……まだまだ発想とヒラメキの修行が足りないようだ。
心を失い、こちらの声も届いているのかわからぬ青年に毎日声をかけ続けた少年がいた。
少年はその日あったことを青年に語り、青年は虚ろな目のまま虚空を見つめていた。
そんな日々が一年経とうかという頃、青年に変化が現れた。
青年が少年を見て、わずかに微笑んだのだ。
少年はそれに感動し歓喜の涙を流した。
そして青年の目からも一粒の涙が零れた。
その涙は誰のためなのか、何のために流したのか。
それは少年にも、おそらく青年にもわからない。
だが青年の心が戻りつつある前兆であるならば、それを阻止せねばなるまい。
青年は途轍もない力を神から与えられ、彼が心から願えば何でも願いが叶ってしまうのだ。
それこそ世界の滅亡でも、不老不死でも。
これ以上世界を好き勝手させるわけにはいかない。
それが勇者としての定めなのだから。
だが、一つ気がかりがある。
毎日声をかけ続けていたあの少年……どことなく青年に似ているような気がするが、あの子はいったい誰なのだろうか?