受験のために部活を辞めた人がいた。
卒業式の日、その人のために後輩たちが色紙を書いて渡していた。
引退の日までいた私たちと比べたら飾り気のないものであったが、後輩たちの想いとやさしさが込められていた。
その時はその人も喜んでいるように見えた。
だけど、後日こんなことを聞いてしまった。
『あんな中途半端なものを贈られるんだったら、貰わなかった方がマシ』
……その感想は人としてどうなんだとその時は強く思った。
それは今でも変わらないけど、その人にとっては後輩たちのやさしさなんてその程度のものだったのだろうと思えるようになった。
私が部活の面々と全く連絡をとっていないのと同じでその程度のものだったのだろう……
優しい風が吹く。
私をそっと包みこんでくれる。
天涯孤独となってしまった私だけど、父が残してくれた物語のおかげで寂しくはない。
だからまた、あの草原に行こう。
あの時と同じ、変わらない草原。
そこで風を感じて私も物語を書こう。
父が書いていた勇者と姫の物語。
その結末を。
§
(最近switchで発売された某テキスト?ゲームをクリアした記念に。
さすがに直近すぎるのでタイトルは伏せますが、美しく、そして楽しいゲームでした。
良かったらプレイしてみてください。
一ヶ月後にこの文書を少し書き換えます)
今見ているこの景色は私が夢見たもの。
誰も彼もが笑っていて、もう脅威に怯える暮らしをしなくて良いのだと心から安堵している。
これは夢じゃない。私はやり遂げたのだ。
……まさか職場にでっかいGが出没するとは。
よくもあんなに育ったものだ……
まっすぐ前に突き進め。
どんなことが起きても、どんなことを言われても。
己が信じる信念を胸にひた走れ。
心の羅針盤は己がブレない限り、味方であり続ける。
信じろ。己を。己のやりたいことを。
突き進んだその道はどのような結果になっても人生の糧となるのだから。
またね、と再会の約束をする相手は年を経ると少なくなっていった。
みんな自分の人生を歩いている。偶然道が交わっただけで同じ道を歩いているわけではない。
そう思ってもやはり少し寂しい。
この先、またねと言える人は増えるのだろうか。
増えるといいな。