バスクララ

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 帰宅途中に空を見上げると、絵に描いたような見事な三日月が浮かんでいた。
 これは早く帰って知らせねば、と僕は歩みを早くする。
 家に帰ると愛しい愛しい僕の君……黒猫のムーンちゃんが出迎えてくれた。
「ただいまムーンちゃん! ねえねえ聞いてよ、今日は三日月がすっごくキレイなんだよ!
あっもちろんムーンちゃんの方が麗しいしとってもキレイなんだけどね!」
 それを聞いたムーンちゃんはあくびをしてからゆっくりと居間へと歩く。
 そしてムーンちゃん専用となっている出窓へ飛び乗りじっと月を見上げていた。
「キレイでしょー? 三日月ってなんでこんなに心惹かれるんだろうね?
もちろん僕はムーンちゃんにメロメロなんだけどね!」
 ムーンちゃんはニャアと一鳴きしてそっぽを向く。
 ちょっとつれないところもあるけど、それもまたムーンちゃんの魅力。
「我が愛しの君と見上げる月…🌙←あんな形の舟に乗って星の海を航海してみたいな、なんてね!」
 三日月を指差しながら言うとムーンちゃんはまるでチベットスナギツネのような目をして出窓からさっさと降りていった。
 ちょっと言葉チョイスがロマンチストすぎたかな?
 でもいつかムーンちゃんと一緒に星の海……宇宙に行きたいのは本当だからなあ……
 もっと直球で言ってみようか! よしそうしよう!
「ムーンちゃ〜〜ん!」
 そしたらなぜか引っ掻かれました。うーん……なんでだろう……?
 はっ、まさかツンデレ!?
 ムーンちゃんってば……! も〜〜〜好きっ!!

9/14/2025, 1:21:39 PM