なぜ人は「あれしないとな〜」と思い浮かんだ時にやらないのか。
大抵忘れるのに、なぜ後回しにして後悔してしまうのか。
その答えは、まだわからない。
……ポ◯センのswit◯h2同梱版ZA予約するの忘れたよーー!!
気づいたのついさっきだよーーー!!!
……発売日までに手に入るかな、sw◯tch2……
センチメンタル・ジャーニーといえば「伊代はまだ16だから〜♪」が真っ先に思いつく。
思いつくだけで懐かしいとかそういう感情は一切ない。世代じゃないし。
それはさておき、ちょっと早い大掃除……という名の部屋の整理整頓をした。
押し入れの奥から出るわ出るわ忘れていた懐かしいものたちが。
「こんなのあったなー」「このジャンルにハマってたなー」と思い出に浸りながら断捨離をしていくと、隅の方にピンクのリボンでラッピングされた白い箱があった。
何を入れたのか、なぜリボンをかけているのか全く思い出せないそれを開けると、振袖を着た私が両親と共に写っている写真が入っていた。
写真の裏には『◯◯年 (私の名前)成人式』と祖母の字で書いてあった。
そこまで見て思い出した。これは祖母のものだと。
数年前、「あなたが主役の写真なんだからこれはあなたが持ってなさい」とそれまで祖母が大事に大事に持っていた写真を私に渡したのだ。
それで私は「せっかくだから箱に入れてリボンでラッピングしよう」とたまたま持っていたピンクのリボンをつけたのだった。
……すっかり忘れていた。どうして忘れていたんだろう。覚えていれば棺の中に入れたのに……
鼻の奥がツンとなるのを感じながら感傷に浸る。
祖母との思い出はひどく甘美で、そしてまだ辛い。
表面上は癒えていても、奥底では傷ついているのだろう。それでも想うことを止められない。
これもまたセンチメンタル・ジャーニー……感傷旅行の一種なのだろう。
使い方が違うとは思うが、今はそう思っている。
帰宅途中に空を見上げると、絵に描いたような見事な三日月が浮かんでいた。
これは早く帰って知らせねば、と僕は歩みを早くする。
家に帰ると愛しい愛しい僕の君……黒猫のムーンちゃんが出迎えてくれた。
「ただいまムーンちゃん! ねえねえ聞いてよ、今日は三日月がすっごくキレイなんだよ!
あっもちろんムーンちゃんの方が麗しいしとってもキレイなんだけどね!」
それを聞いたムーンちゃんはあくびをしてからゆっくりと居間へと歩く。
そしてムーンちゃん専用となっている出窓へ飛び乗りじっと月を見上げていた。
「キレイでしょー? 三日月ってなんでこんなに心惹かれるんだろうね?
もちろん僕はムーンちゃんにメロメロなんだけどね!」
ムーンちゃんはニャアと一鳴きしてそっぽを向く。
ちょっとつれないところもあるけど、それもまたムーンちゃんの魅力。
「我が愛しの君と見上げる月…🌙←あんな形の舟に乗って星の海を航海してみたいな、なんてね!」
三日月を指差しながら言うとムーンちゃんはまるでチベットスナギツネのような目をして出窓からさっさと降りていった。
ちょっと言葉チョイスがロマンチストすぎたかな?
でもいつかムーンちゃんと一緒に星の海……宇宙に行きたいのは本当だからなあ……
もっと直球で言ってみようか! よしそうしよう!
「ムーンちゃ〜〜ん!」
そしたらなぜか引っ掻かれました。うーん……なんでだろう……?
はっ、まさかツンデレ!?
ムーンちゃんってば……! も〜〜〜好きっ!!
空白を埋めるように文字を書く。
だけどぎっちり書いてしまえば読みづらいことこの上ない。だけどスカスカでもそれはそれで読みづらい。
ちょうどいい塩梅を見極めなければならない。
読みやすさは人によって違う。
例えば こういう風に 文節をある程度 区切りながら 書くと 読みやすい と言う人も 読みにくい という人も いるだろう。
ドラ◯エとかのRPGや映画などの字幕はそういう風に文を作っている気がする。
やはり空白は偉大なのだろうか。
二次創作でも空白を埋めるように想像することが多いはずだから……やはり空白は偉大なのだろう。
では私も空白で文を作るか。きっと良い文が作れるはずだ。
『□□□□□ □□□□□□□ □□□□□』
……うむ。見えなかったら意味ないな!
「聞いてよ! 今日、こんなことがあったの!
隣の男子がさ ―― 」
「えー? マジ? 逆にすごいね!
あそういえばこの前、たぶん同じ男子だと思うんだけど――」
帰宅ラッシュで混み合う電車の中でマシンガントークをする女子高生たちの会話に聞き耳を立てたり立てなかったりしつつ、俺はスマホで調べ物をしていた。
しかしキャッキャキャッキャと楽しげな声についつい手が止まる。あと話の中に出てくる男子が中々無茶しててちょっとハラハラしてしまう。
クラスメイトの玉子焼を食べ比べしたり、廊下を歩く時は逆立ちだったり……とてもその、愉快だとは思う。
すげーなその男子……と思っていると電車が駅に着き、女子高生たちが降りていった。
台風が過ぎ去っていったかのように静かになった車内で、ふとこんな会話が聞こえてきた。
「……あのさ、さっきの女子高生が言ってた男子って、もしかしたらうちの弟かも……」
「……マジで?」
声の主はどこにいるのかわからなかったが、なんというか……世間は狭いなと思った瞬間だった。