空と海が溶け合っているところにガラス玉を掲げて、映り込んだ景色をガラス玉に閉じ込めることができたならどんなに素晴らしいことか。
逆さまの空と海。毛色の違う青と青。
他の誰にも見せたくない、自分だけの宝物になるだろう。
そんなことは出来ないとわかっていても、そうなればいいなと思っている自分がいる。
たとえ逆さまであっても、空と海を手中に収められてちょっとした神さまの気分になれるかもしれないから。
どうしよう、と考えても後の祭り。
明日は早いのに、早く寝なきゃいけないのに……
眠れないほど食べ過ぎてしまった……
横にはなってるけどお腹が苦しくて眠気が全くやってこない。
普通、満腹になったら眠くなる。でも満腹のちょっと上を行ってしまったから苦しくて苦しくてしょうがない。
なんで夜ご飯を食べたのに小腹がすいちゃうんだろう? そしてなんで食べちゃったんだろう?
……とりあえずゴロゴロして体を疲れさせて、ついでに消化も良い感じにしよう。
ゴロゴロしたら消化が良くなるのかは知らないけど。
よし、そうと決まればゴロゴロ〜、ゴロゴロ〜。
……気持ち悪くなってきたからやめよう。うん。
リバースはしたくない。
でもどうしよう。寝ないといけないのに……
よし、ここは古典的なアレだ!
ひつじが一匹、ひつじが二匹、ひつじが三匹……
……ひつじが百匹、よしやめよう!
もう眠ろうと思ってるのに、眠れないほど気持ちが焦るなあ。まあ自業自得なんだけどさあ。
後悔先立たず。次からは小腹がすいても食べないようにしよ……
……ハッ! 今何時!?
…………やっべぇ! 遅刻だ〜〜!!
夜見てる夢、自分が思い描いている夢。
それらが現実になればどんなに良いだろう。
そう思ったこと、一度や二度はあるはずだ。
私だってある。
だが、そんなものは所詮夢物語。
夢は夢のままであればいいのだ。
変に高望みしては叶わなかった時、夢と現実の乖離に苛まれることになる。
現実は辛く厳しい。努力すれば夢は叶うと成功した人は言うが、どうにもならないことだってたくさんある。
だから私は夢を見ないことにした。
そうすれば変に落ち込まなくてもよくなるから。
そう、私は諦めた。
夢は夢のままで終わらせるべきだと、現実で叶わなくても良いと、私は思う。
後ろ向きだと言われてもいい。夢がないと言われてもいい。
期待に押しつぶされて私が私でなくなるより、よっぽどマシだ。
友達が私の手の届かない遠いとこへ旅立った。
今頃は三途の川を元気に泳いでいることでしょう。
好奇心旺盛で面白そうなものに何でも首を突っ込んで物事をしっちゃかめっちゃかにするのはいつものことだった。
それでもなぜかその物事とかが上手くいって、周りが友達に感謝して、友達が首を傾げるのもいつものことだった。
己の本能のままに、あるがままに生き抜いた友達は私にとって眩しい太陽のような存在だった。
まあ元気さも加味すれば灼熱の、という枕詞がつきそうなものだけど。
だから私はさよならは言わないでまたねと手を振る。
だってお昼に空を見上げればいつだって会えるのだから。
眩しいのは嫌い。真っ暗闇も嫌い。
私は光と闇の狭間で一人、寝転がっていた。
時々どっちからもお誘いが来るし、貶されたりするけれど、もうここが心地よくなってしまった。
このままでいいのかなとはちょっぴり思うけど、どっちにもいけない私はここがお似合いなのだろう。
だから私はずっとここにいる。
でも耳の奥からくすくす笑い声が聞こえるの。
この人はずっと怠惰だね……って。