兎と亀

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8/6/2025, 10:50:04 PM

またね


『今日もありがとうね』

静かに君との時間が終わろうとしていた
私は大好きな君に別れなんて言えなかった

だからもう一回会える期待だけさせて欲しい
また会えるよねって
伝えたかった

振り返り逆方向に向かう君に
私は深呼吸をして言った

『またね』

そういうと振り返って微笑んでくれる君に
私の鼓動は早まるばかり

8/5/2025, 3:05:14 PM

泡になりたい

いつになれば私は貴方に振り向いてもらえるの?

そう思いますながら
彼を眺める

振り向いてもらえるかもわからない
だって隣には違う人がいるから

ねぇ知ってる?
人魚姫は結ばれなかったら泡になって消えるんだよ?

静かにプールに身を投げる
私の体は人魚になる訳でもないけど

静かにただ貴方を思い続ける
でも結ばれないと気づいたから

泡になって美しく消えたかった

8/4/2025, 12:26:36 PM

ただいま、夏

また貴方に会える日が来た

あの日海を眺めた時から
どれくらい夏が来たのだろう

彼のことはまだ消えなくて
夏になると淋しくなる

今日も私は海へと向かう

いつも通りで何も変わらない
でも今日は違った

瓶に入った手紙を見つけたから

あの日のことが鮮明蘇る
貴方に会いたいと書いた日から全部

私は興味を持って瓶を開け
手紙を手で持ち
読んで見た

最愛の君へ おかえり

私はその紙を抱きしめた

彼の筆跡だったから
彼の笑う姿を思い出し

また海に向かって吐いた

ただいま

8/4/2025, 12:12:35 PM

ぬるい炭酸と無口な君


『好きっ!』


私の中で炭酸が弾けて
溢れ返ったように
大声で君に想いをぶちまけた

でも君は反応をしてくれなかった
ずっと目を合わせるばかり
戸惑いもなくずっと見つめてくる

静かにぬるくなり炭酸も無くなってきた頃に

『俺も…』

と小さく呟いた

二人の心の炭酸はまたシュワシュワと強くなった

8/2/2025, 10:44:02 AM

波にさらわれた手紙

『瓶に手紙を入れて海に流すと願いが叶うんだって』

幼い頃に君が話したおまじない
今も忘れることのできない思い出が
滝のように流れてくる

それはすべてが美しくて
触れれば消えてしまうような儚さを孕んでいる

永い眠りについた彼は
一体どんな夢を見ているのだろう

目の前にずっと続く地平線に私は息を呑む

まっすぐに進むそれに私は彼のことを重ねてしまうから

私は紙に一言だけ書いた

叶わなくていいからと
届いて欲しくて書いた

貴方に会いたい

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