君はいつもそう。
私が弱っている時を見計らったように突然現れる。
その存在は心の隙間に一瞬で入り込んで、
私の記憶に消えない爪痕を何度も残す。
ねぇ、そんなに私が嫌い?
忘れて欲しいと、そう言ってあの時君が全てを壊したのに。
2年経った今でも、まだ縛り付けておきたい?
私の不幸がよほど好きなのね。
私達は意味のない別れを経験しすぎたの。
"さよなら"すらないそんな曖昧な最後に、触れすぎたのよ。
お願い、もう私から何も奪わないで。
君が私に向ける言葉が、
私にとって全てになってはいけないの。
記憶の中で微笑む君が、私から世界すらも奪ってしまう。
残酷なほどに冷たく、悲しくなるほど突然に。
だって私の世界の全ては君だったから。
永遠を誓った人すら捨ててしまえるほど、
君が魅力的に見えて仕方がないから。
それすら、分かってるんでしょ。
今の君は、きっと私の記憶とはまるで別人なのに。
___記憶
君が私の希望であるように、私も君の希望になりたかった。
でも私がなれたのは、君を悪夢に引き摺り込む闇。
そうね、当然ね。
消えない後悔ばかり数えて、
変えられない過去に縋り付いて、みっともないよね。
でもね、
あの日君が消し去ってしまったのは、
私に忘れて欲しいと願ったのは、
私の全てだったの。
君が奪い去ってしまったのは、私の全てだったのよ。
壊れない愛が、消えてしまわない愛がほしかった。
私が全てを投げ捨ててでも手に入れたかったのは、
君からの愛だった。
もう2度と、君を失いたくない。
もう2度と、私を見失いたくないよ。
___もう2度と
あの日君が隣にいた景色は、この世で最も綺麗だった。
それはきっと、
この先出会うどんな人にも生み出すことができないもの。
どんな名画や宝石も遠く及ばないほどの感動。
固く閉じた心をいとも簡単に染め上げてしまう儚い美しさ。
恋焦がれてしまうほど、奈落の底に落とされる。
あまりにも魅力的で、あまりにも遠い、
そんな記憶の中の景色。
___君と見た景色
もう一度好きになってなんてわがままは言わないから。
だから、もう誰も好きにならないで。
___叶わぬ夢
透明に透き通った水はただその美しさだけで輝く。
何色でもない、だからこそどんな色にもなれてしまう。
オレンジ、赤、紫。
そうやって色を足せば足すほど暗く濁った色に。
墨を一滴でもたらしてしまえば終わりね。
二度と元には戻れない、もうどんな色にも染まれない。
愛って、そういうものでしょ。
同じ水なら綺麗なまま、どんな未来も夢見ることができる。
でもそう、墨の誘惑に負けたら落ちるは永遠の闇。
何度でも自分を変化させ、
何色になることもできる自由な愛。
それともただその一色だけを深く望み、
何色になることも許されない縛られた愛。
どちらも運命的な出会いの中で生まれた愛情の形。
透明な輝きか漆黒の美しさ、あなたはどちらを選ぶ?
___透明