いつも笑ってる人。
何でも受け入れて肯定してくれる人。
人の涙ばかり拭っている人。
それはきっと、
陰で誰より多くの涙を流して、
誰より理解されたい自分を持っていて、
そして誰より多くの傷を背負ってる人。
誰かにね、
自分の弱みを見せることにはとても勇気がいるの。
自分の傷を理解して、
その痛みを言葉にすることは強くなきゃできないのよ。
だって、本当の自分を拒絶されるのは怖いから。
惨めな自分を曝け出すのは苦しいもの。
でもね、
自分を痛めつけて得た強さは何も救ってはくれないの。
我慢から生まれた優しさは、いつか綻びを見せるのよ。
だからほんの少し、信じてみて。
昨日よりも少しだけ、弱音を吐いてみて。
その小さな勇気が、あなたの本当の強さだから。
___小さな勇気
俺に"大丈夫"と嘘をつく彼女。
私に"好き"と嘘をつく彼。
中途半端に人を傷つけるような嘘しかつけなかった私たち。
これまでも、これからも、
願えるのはきっと自分の幸せだけ。
でも最後だけは君に、あなたに、笑っていてほしいから…。
彼女をこれ以上傷つけないための精一杯の償い。
彼にこれ以上嘘をつかせないための精一杯の我慢。
私たちが最後についた、ずるくてやさしい嘘。
___やさしい嘘
私があなたの全てを忘れること。
それが、あなたが最後に唯一望んだこと。
私の気持ちも望んでることも、本当は全部分かってる癖に。
あなたに思いを馳せることすら許してくれないのね。
私があなたにあげられるものなんて何一つないと。
私にとって大切だったものは、
あなたには何の価値もないのだと。
最後に知ったのは、そんな悲しい真実だけだった。
ねぇ…もしも私が贈り物だと思っているものが
あなたの足枷になってしまうのなら、
私の存在ごと全部捨ててください。
___あなたへの贈り物
諦めたかったのは君との幸せで、
捨て去りたかったのは君への想いだっだ。
できるのなら君を、心の底から嫌いになりたかった。
それなのに君なしで過ぎ去っていく時間は、
あの夜の悲しみもあの瞬間の苦しみさえ綺麗に彩っていく。
そう、穴だらけで短すぎたあの日々に、
縋らなければ生きていけないほどに。
君があんなにも簡単に忘れてしまえたのは、
私が数いるうちの1人にしかなれなかったから。
でもね…
私はあの日、この世でたったひとり愛せる人を失ったのよ。
___ただひとりの君へ
木々を揺らし通り過ぎていった風が、
もう二度と戻ってこないように、
きっとあなたもいつか、
私の前から消えてしまうのでしょう。
心地よく頬を撫でる風も、
私の体温を奪い荒く吹き付けるあの風も同じなように、
きっとあなたはこれからも、
私に嘘をつき続けるんでしょう。
気分屋でフラフラしてるあなたを留めておくのは大変だわ。
ほんとうに、どうしようもないほどずるい人。
でもそんな風のいたずらがたまらなく愛おしい私は、
きっとどこかおかしいのね。
___風のいたずら