君のいる毎日が、君という存在が、
私にとってどれほど大切なものだったか。
君はきっと知らないし、あの時の私も知らなかった。
奇跡のような出会いはいつしか偶然になっていって、
平凡な幸せは目の前の大きな期待に隠されてしまう。
失って初めてその価値に気づく、愚かで欲深い人の本能。
それでも後悔を重ねて人は強くなっていくんだと、
君の存在が気づかせてくれた。
あまりに弱くて情けない私を、
変えてくれたのはいつも君だったから。
特別なことなんかなくても、
ただ君が側にいてくれたことが何より幸せであったこと。
きっと今この瞬間も、
後で振り返った時かけがけのない時間だったと気づく。
だから私は、この平凡な毎日を大切にしようと思った。
当たり前のように誰かと、
とりとめもない話ができるこの日々を。
一分一秒余すことなく、
私にとってかけがえのない時間だから。
『とりとめもない話』
君と出会った冬が、今年もやってきた。
いまだに私の心を掴んで離さない君の笑顔が、声が、
恋しくて仕方ない。
君が私を忘れると勝手に決めてしまった日から、
もう何年が経ったんだろう。
夜空から舞い落ちる雪を見ると、
私は今でも君を思い出してしまう。
この雪の冷たさのように素っ気なくて、
いつ降るかわからない雪のように気分屋で、
その存在ひとつでいつも私を楽しませてくれた人。
そっと降り積って消えていく、
君のその不器用な優しさが私は好きだった。
"捨てないで"
あの時私が流した涙は、きっと君には届かなかったのね。
だって冬は毎年必ずやってくるのに、
君はあれから一度も私の元には戻ってきてくれないもの。
それでも私は、ここで君を待ってる。
私が前を向く理由がここにある限り、ずっと。
『雪を待つ』
煌びやかに彩られた街。
行き交う人の顔に浮かんだ笑み。
きっと、私だけがこの世界から取り残さている。
冬の寒さには似合わない色とりどりの光が、
どんな憂鬱もとばしてしまいそうなほど輝いているのに。
私は、どうしてこんな日さえ独りなんだろう。
本当だったら、ここであなたと笑っているはずだった。
あなたの1番が私だったら、隣にいてくれた?
精一杯引き止めたら、私の側に残ってくれたの?
どうでもいいのね。
私なんていなくても、
あなたはこの光の下できっと誰かと笑っているもの。
憎らしいほど綺麗なこのイルミネーションを、
私はあなたと見たかったよ。
『イルミネーション』
私は愛を与え続けて、
あなたは愛を奪い続ける。
『愛を注いで』
あなたが見せてくれない心のうちを、
私はいつも密かに探ろうとする。
そして私が隠した心の奥底を、
あなたはいつも土足で踏み荒らしていく。
お互いの心の距離を保てないから、
私達はすれ違っていることにさえ気づけない。
あなたの意思、あなたの願い。
あなたが心の中で描いていることを尊重できない私。
私の思い、私の期待。
私の心の中まで理解する気のないあなた。
でもそれでいい。
私たちはこうやって少しづつ離れていって、
いつか完全に見えなくなる時まで何も知らないままでいい。
体を求めたあの瞬間に、
心と心で繋がることを私たちは諦めたんだから。
『心と心』