幽霊花

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2/28/2023, 1:23:36 PM

どこか 遠くへ出掛けましょう。

用事が無くたって構わない。
それは、まだ見ぬ何かに出会うため。

たとえば
夕日を溶かす海のある まち

登れば空を掴める山のある まち

憧れのあの人が生まれ、育った まち

迷子の私を案内してくれる人のいる まち


私はそんな場所に行きたいのです。

私の探す、どこかに出会うため
どこか 遠くへ出掛けましょう。



―遠くの街へ

2/26/2023, 1:21:04 PM

君は今、誰を思って眠るのだろう。

僕はこんなにも、君を思っているのに
こんなにも君ばかり見つめてしまうのに

君から見た僕は透明なのだ。
透けた僕越しに君は、何か美しいものを見る。

君の見る世界は、
僕の知っている世界とは違うらしい。

僕には君のことが分からない時がある。

君は1人ですっ転んで、ふふ、と笑う。
君は舌が痛いだけで、死に怯えたりする。

僕には君に見えているものや、
考えていることなんて、
百年かけても解き明かせない。

僕にとっても、君は透明だ。
そこにいるのに、僕には捉えられない。

今にも君は、この世界から抜け出して、
違う次元に行ってしまうのではないか。

僕はもっと、君を知りたい。

そうして僕は今、君を思って眠りにつく。



―君は今

2/25/2023, 1:27:12 PM

現実の空は、情景なんてものではない。

空はちっとも私の心を思ってはくれない。

確かに、灰色の空は心を暗くするし
青色の空は心を明るくするかもしれない。

でも、だからと言って
心が暗い時に空が曇り、
心が明るい時には空が晴れる
なんてことはない。

いつだって空は勝手なのだ。
人の心は簡単に、空の勝手に振り回される。

現代文では、暗い空はネガティブな心情を表す
と習うかもしれないが、実際はそうではない。

不安な時、空は共に曇ってはくれない。
悲しい時、空は共に泣いてはくれない。

ネガティブな時ほど、空というものは
見ていて苦しくなるほど、美しい。

陰鬱な私と晴れ渡る空。

何よりも皮肉な対比。
何よりも酷い裏切り。

いつだって空は勝手なのだ。



―物憂げな空

2/23/2023, 1:27:57 PM

来月、この学校を卒業したら、
私が貴方に会うことは、きっとないでしょう。

私はこの思いを、貴方に打ち明けることなく、
おばあちゃんになって、貴方を忘れるまで
ずっとずっと、胸の中にしまい込むのです。

貴方との時間は、麻薬。

わざわざ貴方が私につけた、特別な呼び方。
寝落ちした翌朝、「おはよう」とチャットが来たこと。
不安な時、パニックになって掛けた電話で
優しくなだめてくれたこと。

私、全部覚えてる。
その瞬間のときめきを。

私達は恋人じゃないし、お互い触れたこともない。
だけど、友だちでもない。
言葉を持たない関係が、私達には好都合だった。

私達は歪な者同士。
恋に少し似ているが、醜い感情を持ち寄って
どちらが先にはみ出すか、そんなゲームをしていた。
それは刺激的で、中毒性を持つ遊び。

私は負けたの。そして多分、貴方も負け。
だから一緒にゲームをやめた。

その後クラスも変わって疎遠になった。


世間は恋を、美しいものだと言うけど、
私にとっての恋は、貴方との時間。

私の中の「恋」という言葉を、貴方にあげる。



―Love you

2/22/2023, 2:59:47 PM

君は、文字通り太陽のよう。

私の名前の由来は太陽なのだと、
君は誇らしげに語って見せた。

だが、太陽が明るく輝くほど、
周りを照らす一方で、
その後ろには濃い影が出来るものだ。

君の前には大きな雲が立ちはだかった。

君は太陽であるくせして、
あんまり晴れという天気を知らない。


そして、君は言う。
自ずから名が体を表すということはない。
私は体で名を表せるようになりたい、と。

私は太陽を名乗れるほど、
明るい人間ではないのだけれど、
この名前が私に力を与えるのだ、と。


君は軌道にたくさんの隕石があろうと、
きっと、もろともせずに突き進む。
ぶつかる隕石が多ければ多いほど、
君は燃料に変えて、更に燃え、輝く。

君が背負った黒点こそ、君の、太陽にも勝る美点。

暗闇の中にあっても、君は光を探すことなく
自ら輝こうとする野心を持ち続けた。



名乗りなさい、自分が太陽であると。

君に今、雲間が訪れる。



―太陽のような

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