現実の空は、情景なんてものではない。
空はちっとも私の心を思ってはくれない。
確かに、灰色の空は心を暗くするし
青色の空は心を明るくするかもしれない。
でも、だからと言って
心が暗い時に空が曇り、
心が明るい時には空が晴れる
なんてことはない。
いつだって空は勝手なのだ。
人の心は簡単に、空の勝手に振り回される。
現代文では、暗い空はネガティブな心情を表す
と習うかもしれないが、実際はそうではない。
不安な時、空は共に曇ってはくれない。
悲しい時、空は共に泣いてはくれない。
ネガティブな時ほど、空というものは
見ていて苦しくなるほど、美しい。
陰鬱な私と晴れ渡る空。
何よりも皮肉な対比。
何よりも酷い裏切り。
いつだって空は勝手なのだ。
―物憂げな空
2/25/2023, 1:27:12 PM