眠りにつく前に
暗い寝室のベッドの上、私達を照らすのは窓から入る月光だけ。
私は毎晩、眠りにつく前に必ず「拓也、愛してるよ。」と彼に愛の言葉を伝える。
そして、彼から返ってくるのは毎回「うん。」の冷たい一言だけ。
…いつからだっけ。彼がわたしに背を向ける様になったの。
私と彼の間にはいつの間にか冷たく厚い氷の壁ができていた。
ああ、孤独だ。
なんて、今日も一日の終わりにそう考える。
明日もきっと。
永遠に
「罪を償う」ていうのは、結局加害者側の救済にしかならないんだよ。
ただの自己満足に過ぎない。
あれだけ傷つけられた被害者に、加害者ができる事なんて何もない。
だから、私はアンタを永遠に許さない。
そうやって生涯ずっと、罪悪感で苦しみ続けるといい。
理想郷
みんなが私を受け入れて、誰もが私を否定しない。
私はみんなから愛されていて、必要とされている。
私がいなくなるとみんなが寂しがる。
そんな世界だったら良いのにな。
友達
貴方とお友達になれたのは、今思えば奇跡に近いものなのかもしれない。
住む世界が違う貴方と私。
そんな私は貴方に憧れを抱いていた。
だから、貴方とお友達になれた時は嬉しくて、嬉しくて。
貴方とお友達になった事で、その私の感情はだんだんと大きくなっていった。
でも、いつからだったかな。
貴方への尊敬や憧れは、いつしか嫉妬に変わっていて。
あなたの事は大好きなのに、みんなから好かれる向日葵の様な貴方が好きだったはずなのに。
…もう、綺麗な感情だけじゃなくなっちゃった。
放課後
放課後はみんなで遊ぶのが当たり前になっていた。
まあ、そのせいでお金なんていつも無くて、だからバイトも大変だった。
でも、その日常がそんな事の何倍も楽しかったんだ。
今日は、三月二日。
昨日は私の学校の卒業式だった。
当たり前の様にあった私の「放課後」は昨日でなくなった。
特に将来の夢がなかった私は、親に手伝ってもらって仕事を探している。
多分みんなもそうだ。
あまり更新されないインスタ、毎日会えない友達。
その事実だけで寂しくなる。
もう二度と戻ることの出来ない、放課後の日々。
それを思い出とし、そろそろ私も私の未来へ進もうと思う。