宝物
あなたとの日々は私にとって宝物だった。
あなたが当たり前の様に私の隣に居てくれたり、他の友達よりはちょっと特別に扱ってくれたり。
今のままの関係でも十分楽しくて、嬉しくて。
あなたと二人きりで話すたびに、私の心はふわっとして、それだけでその日は一日幸せで。
それでも、あなたと恋人という関係になる事を夢みなかった訳はなく。
むしろ、正直なりたかったくらいで、どれだけ授業中に妄想していたことか。
ただ、それは私にはあまりにも勿体無いと思っていたんだ。
だから、高校を卒業した今あなたの隣に居るのが私でなくても、あなたが幸せなら私は幸せだ。
そう思いながら、私は右手で結婚式の招待状を握りしめた。
左手にはスマホを握っている。
その画面には、メッセージアプリが開かれている。
『お前には絶対きてほしい‼︎』
幸せのお裾分けだ、とふわりと笑う。
大丈夫、私は今幸せ、幸せだから。
宝物は大切に宝箱にしまっておく事にするよ。
キャンドル
美しく輝き続けようとするほど、自分の身を削ることになる。
でも、そうしないと誰もあなたを見てくれない。
結局は、自分の身を削ってるやつほど美しくなれるんだよね。
まるでキャンドルみたいに。
たくさんの想い出
楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと。
きみとのたくさんの想い出たち。
その全てこの場所にあるの。
だからね、次に私がこの場所を訪れた時
「ああ、こんな青春な恋してたな」
て、君とのいい想い出だけを思い出せる様に。
ここはこのまま取っておくんだ。
はなればなれ
私たちは確かに両思いだけど、まだ結ばれる訳にはいかない。
だって、私はいつも冷静で誰にも興味がなさそうで、私の事が嫌いな貴方が好きなの。
なのに、貴方ときたら私のこと一つでそんなに取り乱しちゃって。ほんとうに情けない。
でも、貴方への恋心が冷める事はないの。
だってこんなにも顔が好みな男、これからの人生でも絶対出会う事がないから。
だから絶対、私の事を世界一嫌いにしてあげる。
俺は好きな人と両思いだ。けれど、付き合う事はできない。
だって、俺が好きなのは昔のお前だから。
昔はずっと一人で、情けなくて可哀想で。
俺しか頼れる人がいない様な、そんなお前が愛おしてくて仕方がなかった。
だから高校生になっても俺が守ってやるって思ってたのに。
卒業前に同じ志望校の友達ができたのをきっかけに高校デビュー。
すっかり明るい性格になって、みんなの人気者。
そんなの、お前じゃないじゃん。
でも、俺は知ってる。人の中身はそう簡単に変えられるものじゃない。
だから、絶対に俺しか頼れなかったあの頃のお前に戻してあげる。
子猫
私は、同じことの繰り返しでも、小さな変化を見逃さずに楽しめる人生を歩みたい。
だから、来世は猫になりたいんだ。
できれば子猫ね、だって小さくてかわいいし。
どうせ生まれ変わるなら可愛い方がもっと良いでしょ!
あなたは生まれ変わるなら、ナニになりたい?