ありがとう、ごめんね。
十三年間も続いた「親友」という関係に終止符を打ったのは私。
九年間、ずっと片思いをしていた幼馴染の彼。
「親友」という立ち位置だけでも満足していたのに。
きっと、あの時の私はすごく焦っていたと思う。
彼を他の人に取られちゃうって。特別を取られるって。
だから、言わないとって思った。
そして夏祭りの日、気づいたら告白をしていた。
「ずっと、ずっと好きでした。付き合ってください。」
私の言葉を、彼はただゆっくりと困った顔で聞いていた。けれど、彼が返事を出すのは早くて。
「ありがとう…でも、ごめんね。俺、美咲とは付き合えない。」
いつも優しい彼。
そんな彼の言葉に傷つけられたのは初めてだった。
ああ、失敗したなって、心の底からそう後悔した。
「ほら、美咲は優しいし、かわいいし。俺なんかよりも、良い人がいるよ。もっと美咲を幸せにしてくれる人とこの先、出会うかもしれないだろ。」
彼の必死なフォローから、まだ私と親友で居たいと思ってくれてるんだなって嬉しくなった。
でもね、アンタより良い人なんて居ないんだよ。
居たら、こんなに九年間も同じ人好きになんない。
私は…私が、アンタが良いって言ってんの。
言いたいことはたくさんあった。
けれど、涙が溢れない様、目に力を入れて、唇を噛むので精一杯で。
だから彼の質問に対して
「なあ…これからも俺たち親友で入れるよな?」
「…うん。ありがとう、ごめんね。」
泣きながらそう返すのが精一杯だった。
12/8/2024, 1:43:23 PM