【願い事】
サイボーグになる事が普通になる未来か
早く来てほしい
【空恋】
いつだったのか……手の隙間からサラサラと砂を取りこぼすように、手の平の全ての砂を空にした私へ
その時その時を一生懸命に生きていたら
そこに居るのに見えない景色がある
本当は見ておくべきなのは自分の心の外にあったのに
大学受験が卒業後も続いた私は気が付いたら
好きなクラスメイトの想い人がその後、どうしたのか知らなかった
誰に聞いても伝えてないらしい
仲良さそうに笑っていたクラスの男子も
付き合いは希薄だったという
未だに、消息不明
町を出たのは確か……こんな小さな町なら飲みに出たら直ぐに分かる
私は大学を出たら町にUターンして帰ってきた
君がこんなに連絡の取れない人なんて
思いもよらなかったの
きっと町に残る男子だと漠然と思っていた
「打ち明けておけば良かったな」
それが空中分解してきっとフラレていても……
町を誰にも告げずに消えたんだもの
一切の自分を消したんだもの
空恋……最初から空っぽの恋
そんな君をたまに思い出します
【波音に耳を澄ませて】
砂浜に二本立てたサイダーが倒れそうに傾いている
君と僕は波音を聴いている
ずっとずっとそれだけを聴いている
ザブンザーザーザー
ザブンザーザーザー
耳を澄ませてみてよ
本当の気持ち教えてよ
アイツを好きになったの?
止められない気持ちを責めたりしない
泣くなよ
(泣きたいのは…泣きたいのは俺だよ)
いいよ
大丈夫だよ
鞄を持ってサイダーを思いっきり波に向かって投げた
「あー!!チクショーーー!!」
涙が溢れ出てきた
見られたくない、君に涙なんか見せるもんか
そのまま一人家路を歩く
追いかけて来ないんかーい
わかってるけど
今日くらい追いかけてきてよ
【青い風】
「くるくるとリボンを操る君は本物の妖精の様だった
長いリボンを動かして青い風を呼び起こす
青い風の妖精
高く放ったリボンが落ちて来るまでの
見つめる君の目に映る光景は君の一生のどれくらいの時間なんだろう
一緒にリボンを追いかける僕の目にしっかりと君を焼き付けた
それが一瞬でも僕の胸に永遠を残した
僕は君と二人、高校生のままで居たかった
幼馴染みという僕の立ち位置は余りにもあやふやで不安定で
きっときっと高校という枠から出たら
僕を見ている君の目を捕らえられなくなると
分かってて怯えた
自分は未だ大人じゃない
腕力、頭脳、経済力、経験値
全てにおいて敵わない
じゃあ何なら勝てるのだろうと思いを馳せても
何もない、この想いしかない
この想いを持ち続けると神に仏に誓う」
僕はマイクの前に立って緊張していた
「これから読むのは僕が
高校三年の秋に書いた新婦へのラブレターです
夢のような日が僕に訪れたら
あの日から続くこの気持ちを伝えたいと
思っていました」
【遠くへ行きたい】
活力がある時は海外へ
活力が無い時は思い出の中へ幻の人達に会いに行く