遠野 水

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【青い風】
「くるくるとリボンを操る君は本物の妖精の様だった
長いリボンを動かして青い風を呼び起こす
青い風の妖精
高く放ったリボンが落ちて来るまでの
見つめる君の目に映る光景は君の一生のどれくらいの時間なんだろう
一緒にリボンを追いかける僕の目にしっかりと君を焼き付けた
それが一瞬でも僕の胸に永遠を残した
僕は君と二人、高校生のままで居たかった
幼馴染みという僕の立ち位置は余りにもあやふやで不安定で
きっときっと高校という枠から出たら
僕を見ている君の目を捕らえられなくなると
分かってて怯えた
自分は未だ大人じゃない
腕力、頭脳、経済力、経験値
全てにおいて敵わない
じゃあ何なら勝てるのだろうと思いを馳せても
何もない、この想いしかない
この想いを持ち続けると神に仏に誓う」

僕はマイクの前に立って緊張していた
「これから読むのは僕が
高校三年の秋に書いた新婦へのラブレターです
夢のような日が僕に訪れたら
あの日から続くこの気持ちを伝えたいと
思っていました」










7/4/2025, 10:58:34 AM