【やさしい嘘】
ある日、一本の電話がかかって来た
どこまでもやさしい声…母さんからだった
「私はこれから少し遠いところに行くの
お土産も買って来るから良い子で待っててね」
『うん、分かった、気をつけて行って来てね』
「えぇ、行ってくるわ」
分かってる、あれはきっと僕のことを思ってついた
やさしい嘘なんだ
母さんは病院に入院しているはずだから
そして、あれから父さんたちが慌ただしくしている
これで察せない程、僕は子どもじゃない
母さんがもう長くないことなんて
とっくに知ってた
けど、知ってたからこそ
それを認めたくなかった
“きっと元気になってまた3人一緒に暮らせる”
そうなる様に毎日毎日、お祈りもした
でも神様はそんな願いも聞き入れてくれなかった
棺の中、眠る母さんを見た
本当にただ寝ているだけで
ゆすったら起きてくれるんじゃないか
とまで思った
棺はゆっくりと焼却炉へ進む
沢山の人に見守られて
僕と父さんの下へ
少し小さくなった母さんが帰って来た
小さくなった母さんを見て
目の前の景色が少し歪み始めた
父さんに言われて
初めて自分が泣いているのだと気づく
やっと、僕も母さんが亡くなったのだと実感した
“さようなら、そしてありがとう…母さん”
久しぶりに母さんの夢を見て思い出した
あの日の出来事
ふと、カレンダーを見ると
今日は母さんの命日だった
『きっと会いに来いってことだよね、母さん』
スマホを取り出し、電話をかける
『俺だけど、今日、そっち行って良い?』
【瞳をとじて】
今日も一日、頑張った
学校も仕事も今日はもうおしまい
ベッドに入って
ゆっくり瞳をとじる
楽しかったこと、辛かったこと
嬉しかったこと、苦しかったこと
今日あった出来事が浮かんでは消え
浮かんでは消えを繰り返す
明日も学校や仕事があるけど
明日のことは明日考えれば良い
今はただゆっくりと夢の世界へ旅立とう
あぁ、明日なんて来なければ良いのに
そう思いながらもゆっくりと意識は落ちていく
【あなたへの贈り物】
あなたが生まれる前から
沢山悩んで、沢山の願いを込めた
あなたの“名前”
私たちからあなたへ贈る
初めての贈り物
これから先、この名前を好きになってくれると良いな
人に優しく、どこまでも自由で、あなたらしく
沢山悩んで、沢山考えて
あなたなりの正解を見つけて欲しい
そんな願いを込めた、名前
どうか、この先の人生
苦労することもあるかもしれないけど
あなたが幸せでありますように
【明日に向かって歩く、でも】
今日も僕は
明日に向かって歩く
未来に向かって歩き続ける
でも、時々立ち止まりたくなる時がある
そんな時、ふと思い出す詩がある
どこで聞いたのかも思い出せないけど
なんとなくこの詩だけは大切なんだと思う
“
「笑える」のは楽しんでいる証拠。
「怒る」のは真剣だった証拠。
「喧嘩する」のは一緒だった証拠。
「つまづく」のは進んでいる証拠。
「裏切られる」のは信じていた証拠。
「失恋」は愛していた証拠。
「疲れた」は頑張った証拠。
「失敗した」は挑戦した証拠。
「もう止めようかな」は
まだ希望を捨てずにいた証拠。
「素直になれない」はそれだけ愛している証拠。
「もういい」は全然よくない証拠。
「大丈夫」は全然大丈夫じゃない証拠。
「いつもへらへらしている人」は
過去に何かあった人。
「よく笑う人」はよく泣いた人。
「よく大丈夫という人」はよく無理をする人。
「よく強がる人」はよく我慢する人。
「幸せな人」は幸せを知っているから、
優しくなれる。強くなれる。
泣きたかったら、泣けばいい。
辛かったら頼ればいい。
我慢できなくなったら、我慢しなくていい。
笑うのが疲れたら、無理しなくていい。
「明日笑えるかな」って思うより、
「明日少し笑ってみよう」って
思う方がつらくない。
立ち止まることは悪いことなんかじゃない。
辛いとき、苦しいとき、少し休憩して、
また、もう一度歩き出せばいい。 ”
これから先も、生きている限り
辛いこと苦しいことに直面することが沢山ある
それでも少しずつで良いから
一緒に歩んで行けたら良いな
【ただひとりの君へ】
ただひとり、大切な君へ
この想いが届けば良い
僕がどれだけ言葉を尽くしても
どうせ、君は考えを変えようとしないだろう
僕がどれだけ君を大切に思っていても
どうせ、君には届かないだろう
僕がどれだけ君に手を伸ばしても
どうせ、君はこの手を振り払うのだろう
僕が辛く苦しい時、いつも側にいて
この手を掴んではあちこちに連れ回してくれたよね
おかげで悩んでる間もなくて
“もう、君がいるならそれだけで良いや”なんて
僕に思わせて期待させて
本当、僕の人生狂わせて置いて
“じゃあ、これでさようなら”なんて
出来ると思っているのか
いくら、君から手を離そうと振り払おうとしても
あの日、君が僕にしてくれた様に
何度でも君の手を掴もう
もう二度と離れない様にしっかりと
初めにこの手を掴んだのは君なんだから
今更、逃げられるなんて思うなよ
これはただひとり、君へと送る
平凡で退屈な日々への挑戦状だ