【魔法】
誰しも一度は夢に見た魔法
子供の頃には二次元の世界の中でしか
存在していなかったもの
姿を消したり
水の上に浮いてみたり
昔なら“ありえない”の一言で
済まされていたものが今となっては
その夢を諦めなかった子供だった者達によって
現実のものとなりつつある
クラークの三法則の一つに
“十分に発達した科学技術は
魔法と見分けがつかない”
というものがある
私たちはいつだって科学技術で夢を実現して来た
空を飛びたいと願い、飛行機を発明した
姿を消してみたいと願い、
色彩光学を利用したマントを開発した
アニメで見たキャラたちが使う必殺技を
科学で再現して来た
魔法はいつだって私たちの手の中に
【君と見た虹】
雨上がり、君と一緒に見た虹
君と一緒だったからなのかな?
いつもより世界が輝いて見えたんだ
きっとこれからも虹を見た時に
この時のことを思い出すんだろう
あぁ、どうしよう
今、どうしようもなく
君に会いたくなってしまった
【夜空を駆ける】
“一緒に夜更かししよう”
そんな言葉で始まる一夜の夢のような話
夜空を駆ける、沢山の星の雨
「流星群って言うんだって」
「すごい、きれい…」
「…明日、手術なんでしょ」
「…うん」
「…怖い?」
「…うん」
「そっか…じゃあさ、手術がんばって
今度はこんな小さな窓からじゃなくて
外で目一杯の星空を見ようよ、約束」
「うん、約束」
「ゆびきりしようか」
「うん」
「「ゆびきりげんまん
うそついたらはりせんぼんのます
ゆびきった」」
後日、看護師さんには怒られてしまったけど
約束を果たすために手術をがんばろうと思えた
結局あの夜以来、君には会えていないけど
今年の流星群、君も見ているはずだよね
【あなたは誰】
時々、視線を感じることがあった
でも、視線だけで何も起こらなかった
だから、今日は私から話しかけてみることにした
「ねぇ、誰かいるの?」
だけれど、何も返ってこない
不安に思い、もう一度聞いてみる
すると、ひとりでにペンがノートの上を走る
“僕の名前を呼んで”
「ねぇ、あなたは誰なの?」
“僕は…”
「何してるの?早く帰るよ」
お姉ちゃんが呼びかけて来た、だから
「…ううん、何でもない」
と咄嗟に嘘を吐いた
「今日は誕生日でしょ?早く帰ってケーキ食べよ」
「うん、今行く」
姉妹の後ろ、黒いモヤだけが揺れていた
“ちっ、邪魔が入ったか
もう少しだったんだけどな、次こそは連れて行く”
【輝き】
努力の輝き
才能の輝き
それはそれは眩しいものだ
一つのことを続け、己を磨き続ける
どんなものでもそつなくこなせる
それがただの石ころだろうとガラス片だろうと
磨き続ければ、それは輝かしい宝石と言えるだろう
努力が報われない
何でもそつなくこなせるため
何にも本気になれない
それぞれがそれぞれ違う理由を抱えている
一律に“こうしなさい”とは言えないが
自分だけは自分を否定しないであげて欲しい
どこかで貴方のことを見ていてくれる人が
必ず居るはずだから