【はじめまして】
はじめまして、世界
はじめまして、命ある物
はじめまして、生まれたばかりの私
全てにはじめまして
あなたが私のマスター?
私はまだ生まれたばかりで何も知らないの
だから、私に色々なことを教えてね
あなたのこと何でも知りたいの
あなたの好きは私も好きになりたいし
あなたの嫌いからは私が守ってあげたい
沢山、お話しして
沢山、同じ時を過ごして
少しずつあなたのことを学んでいきたい
私の大切はあなただけだから
ねぇ、マスター
今日も寝てるの?
私、良い子だから
マスターが起きるまで良い子で待っていられるよ
マスターが起きたら何をしようかな
マスターのお話し聞こうかな
久しぶりに外に行くのも良いよね
早く起きてね、マスター
古びた廃墟の中
ベッドに横たわる死体と
その側で寄り添う様に眠りにつく
アンドロイドの姿がそこにはあった
【涙】
涙はその時の感情を表す
そのため、涙の味もその時の感情に左右される
嬉しい時、感動した時、笑っている時は
水っぽくあまりしょっぱくならず
悲しい時、怒っている時、興奮してる時は
塩辛くしょっぱくなるらしい
何かとストレスが溜まりやすい現代社会
涙活を行う人もいる
意図的に涙を流すことで溜まったストレスを
少しでも軽くすることができるらしい
涙は自分の心を写す鏡のようなもの
もし、悲しくもないのに涙が溢れてくる時は
きっと貴方の心からのSOSだから
とことん、自分の心に向き合って
思いっきり泣いてみて欲しい
涙が枯れる頃には心もきっと軽くなっているはずだから
【小さな幸せ】
テスト明け、仕事終わり…何かを頑張った時に
集中切れ、とにかくイライラしていまう時に
コンビニで好きなお菓子やスイーツを買う
見えない頑張りは申告しなければ
誰も褒めてはくれないから
せめて自分の機嫌くらいは自分でとっていかないと
好きなお菓子やスイーツを食べている時
それが私の小さな幸せの時間
できれば、足もとにスミレの花が咲いていると良いな
【七色】
全て見つけて七色の火を灯せば
願いが叶うという7つの蝋燭
そんな魔法の様な蝋燭が
この世界のどこかにあるらしい
準備を整え、旅に出る
僕には叶えたい願いがあった
“亡くなった両親に会いたい”
それがどうしても叶えたい願いだった
僕の両親は僕が幼い頃に亡くなったのだと
僕のことを育ててくれた人達から聞いた
もちろん、あの人達に不満がある訳ではない
ただ、本当の家族に愛されていたのか
それが知りたいだけ
野を越え山を越え、時に危険な所へと向かい
やっとの思いで7つの蝋燭を集めた
蝋燭に火を灯す
これで僕の願いが叶うはずだ
蝋燭の火が輝きだし、光に包まれる
しかし、それはすぐに消えてしまった
「なんで…」
光が消え、視力が戻ってきたころ
蝋燭があった場所には何も残ってなかった
あの噂は嘘だったのか?
それともあの蝋燭自体、偽物だったのか?
色々な思いが頭を巡り、1つの仮説が思い浮かぶ
それは両親が今もどこかで生きているというもの
両親が今も生きてるなら
僕の願いが叶わなかったのにも納得がいく
そもそも両親が亡くなっていないのなら
叶うはずがないのだから
ならば、蝋燭を探す旅はここで終わりだ
新しい旅を始めよう
両親を探すという旅を
【記憶】
最近、仕事でのミスが増えてきた様に感じる
前々からたまにミスしてしまうことがあったが
最近は特に酷くなってきている
同僚にも「最近良くあるけど、大丈夫か?」
なんて心配されてしまう程だ
「大丈夫だよ」
「本当か?病院とか行ってみたらどうだ?」
「そうだな、何かあったらあれだし、行ってみるよ」
同僚の勧めと不安もあり病院に行ってみることにした
「おそらく、若年性認知症でしょうね」
その医師の言葉に俺は言葉を失った
“若年性認知症”
脳の萎縮が原因とされ
主に64歳以下の男性に多く
比較的進行が速い認知症
つまり俺は、色々な記憶を忘れてしまう病気に
なってしまったということだった
ネットで調べて見たが
新しいことが覚えられなかったり
時間や場所、人物などが分からなかったり
確かに最近の俺の症状と良く似ている
家に帰り、ベッドへと倒れ込む
「俺、会社辞めないと行けないかな…
…辞めたくないな」
今日もいつも通り会社へと向かう
「おぉ、どうだった?」
「若年性認知症だってさ」
「マジか…なんか困ったことあったら相談しろよ
俺も色々支えるからさ」
「ありがとうな」
「良いって、同じ会社の仲間なんだから
あ、確認しておきたいんだけど
お前が若年性認知症だってこと
部署内で共有しても良いか?
情報共有してた方が良いかなって
その方が何かあった時に支えやすいと思ってさ」
「ありがとう、そうしてくれると助かる
俺もできる限り頑張ってみるからさ」
「あぁ、一緒に頑張ろうな」
俺はこれからも記憶を忘れていくだろう
それでも、俺のことを面倒だと言わず
むしろ支えてくれようとする
この人達と一緒に頑張って行きたい