・4『街の明かり』
その気になる女子と一緒に歩いていた人(お姉さん?)
が彼女のことを「テンちゃん」と呼んでいた。
テンちゃんか……
ほんとの名前はなんて言うんだろ。
あっテンちゃん!流れ星だよ!
二人と少し離れてしまったがお姉さんの声が聞こえた。
こんなに街中が明るくて見えるんだろうか?
というか星なんて見えない。
うーーーん、どうにかしてお近づきになりたい。
なれますように。
と、見えない流れ星に願った。
上を見ても街頭の灯りが眩しかっただけだった。
【おわり】
・3『七夕』
「たなぼた〜!」ってアゲ君が短冊を付けた短い笹を持ってた。かわいいな。
にしても夕方になってもぜんっぜん涼しくない
パピコを食いながら俺はカラ君アゲ君兄弟と歩いていた。
「そーいやきららはさ……」とアゲ君に話しかけられたとこで「待って」と遮った
向こうから気になる女子が歩いてきたのだ
きららって名前はバレたくないなー
塾でしか顔を合わせてないし個別だから名前は今のところバレてないと思うんだ。
【続く】
・2『友だちの思い出』
子供の頃は星空(きらら)って名前で問題なかった。
多分単純に友だちに恵まれてたからだと思う。
あとガキの頃はそこそこ可愛かったし。
学校にはもっと凄い変な名前のやつもいた。
エンジンって名前のやつもいたし
カラ君アゲ君兄弟も有名だった。
カラ君とはよく遊んだ。弟のアゲ君も懐いてくれたな。
俺、レモンに改名しよっかなってよく言ってた。
【続く】
・1『星空』
星空と書いてきららと読みます
ワタシの名前。
まあわかりますよね、どんな親か
どんな教育を受けたか
どんなに愛されたか
早く改名したいなあ
でもめんどくさいなー
【続く】
・7『神様だけが知っている』
あれから部署移動もあり
グラビアページに線を引き、コラージュを作成している天気の神様と自称する男性と会うことはなかった。
ただ他の職員に聞き込みをした限り会話らしい会話をしたことがある者はいなかったのは不思議だ。
季節が夏から秋にさしかかろうという頃
夢を見た
頭上に入道雲があり目を凝らすと雲の中に雷がピカピカしている。まるで入道雲が飼っているやんちゃな犬のように雷は形を変えながら踊っているようだった
それから私は雲の中に吸い込まれ打ち上げ花火のような稲光を見るのだった。
今年の夏の花火大会は天候不順で全て中止になってしまった事を神様が「申し訳なかったね」と計らってくれたようだった。
私は怖がるべきか楽しむべきか悩むのだった。
『欲がないんだねぇ』と言う男の言葉が蘇る。
【おわり】