・1『子供の頃は』
デザインベビー初代の私達世代は髪の色は明るく、瞳の色は青が定番だった。肌の色は白が圧倒的に多い。
髪は白く、ダークブラウンの肌で産まれた。
私もデザインされて産まれた子供の1人だった。
そうは思われていなかったようだが。
物珍しい私は
子供の頃はたいそうモテた
【続く】
・13『日常』
キルケーが海上に浮き上がった時スキュラは一目見てピンときた。
元凶だ。私に怒りを感じている、優越感も。
見下されてたまるか。スキュラの腰辺りに顔を出している犬達もキルケーに向かって唸り声をあげている。
「お前の顔を犬にしても良かったんだぞ」
「やりたいならやれば?」
「お前をこの海で一番の怪物にしてやろう。海は荒れ、船は転覆し男達が最後に見るのは醜いお前だ」
「暇なわけ?他にやることないの?私は行くわ」
こうして
スキュラは意外とその持ち前の精神で海の日常も受け入れた。足の代わりの犬達も可愛らしい相棒だ。
海で溺れた人間達を飽きることなく助ける毎日を送っている。
結局あれからグラウは姿を見せない。
どーでもいーけど。
【おわり】
・12『好きな色』
スキュラは散り散りになったあじさいの花びらを見ていた。どこまでも流されていく。
どれも好きな色だった。
なぜ私はこの広い海でひとり取り残されなければならないのだろう
その時魔女キルケーが現れた
【続く】
・11『あなたがいたから』
グラウの姿が見えない事がとても腹立たしい。
理由もわからずこんな姿になって海へ放り出されたことよりも
「出てきなさいよ!!いるんでしょ!どうして私がこんな目にあわなきゃならないのよ!!」
そうだそうだと言わんばかりにスキュラの足になった犬達も吠えていた
高波から守ってくれた沢山のあじさいの花は散り散りになりあっという間に流されてゆく
犬達が頑張って泳いでいるおかげで溺れることはない
とたんにスキュラはバカバカしくなった
「あなたがいたから……」
そう呟いた本人もその後の言葉がなんなのか
わからなかった
【続く】
・10『相合傘』
スキュラは水掻きのようなものが付いている自分の手を見て悲鳴を上げた。この海は毒だ。早くここから離れなければ。
陸に逃げようと心では思っているのに足は勝手に海に向かっていた。
淵に入り腰まで海水に浸かった時
犬の鳴き声が聴こえた。一匹じゃない、何匹もいる!
犬はスキュラの腰あたりでせわしなく『犬かき』していた。
10頭かそれ以上か。
スキュラの足に生えたビラビラは海水で黒い犬になっていた。足から犬に成り代わっていた。
スキュラ自身の下半身の感覚が無い。
犬達が勝手にスキュラを海へ海へと誘ってゆく。
その時大きな波が来た。高波に飲まれて死ぬと思った時
頭上に無数のあじさいの花が現れた。
スキュラを完全に覆い尽くすほどのあじさいが傘となりドーム型のシェルターになった。あじさいの傘が波を弾いてゆく。
グラウだわ。
姿が見えないけど近くにいる。
【続く】