自分の思い描く世界に
夢を見てたい。
たとえ存在しなくとも。
そう覚悟して
ずっと自分の世界だけに
焦がれて、憧れて、
生き続けてきたのに、
こんな所にあったなんて!
出店中なのだろうか。
屋台のように雑貨が並べられている。
店員は一人で
フクロウに似ている。
ちょっぴり不思議な雰囲気。
色鮮やかな雑貨。
丸い天井の装飾。
まさに私が求めていた世界。
コンパクトにまとめられていて
好きなものを一度に見れる
祭壇のような幸福感を味わった。
フクロウに似た店員は
何かお悩みですかなどと
話しかけてはこなかった。
休憩時間が待ち遠しいように
たまに時計を見つめていた。
私はブローチを買い、
フクロウに似た店員に会釈をした。
店員は一言、
"Good Midnight!"
とだけ言ったような気もしたが、
すぐに街の音で
現実へと引き戻された。
また現実逃避の日々か〜、と
やる気も根気も全て失う。
でもあと少しだけ
頑張れる気がした。
そんな私の胸元には
早くもブローチがついていた。
長文は
あまり読みたくならないらしい。
真夜中の貴重な時間を
面白いと思ったことに使いたいから
面白いかが
すぐに分からないものは
飛ばしてしまうらしい。
これは全部
私という人間の1データ。
夜更かしのお供に
いつも違うものを選んでた。
本、音楽、絵を描くこと。
でも最近はラジオを聞き出した。
車によく乗る18時頃、
いつもたまたま聞いていたから
18時〜のラジオ番組が
ラジオという音は聞こえているけれど
なんだか他の事も考えられて、
音が無いより静かで
落ち着いているように思える。
心地よいのだ。
作業中にはうってつけで
とても捗る。
"Good Midnight!"
何も考えたくない時。
良くない事を考えちゃう時。
考えを放棄し、
ラジオに眠り続けて
ずっとこのまま。
風速7、8m/s。
冷たい風が吹き、
外に干した洗濯物が
風を受け取り揺れている。
物干し竿の軋む音や
窓に風が打ち付ける音が
寝っ転がっている私の耳に響く。
目覚ましに風にでも当たろうと
ベランダに出ると、
思った以上に風が強く、
寒さが身に染みて
暖房の有り難さを感じる。
気温がそこまでだから
正直舐めていた。
気温と体感温度とは
これ程違うのかと。
早々と部屋に戻った。
しかし、お陰で目はバッチリ覚めた。
今日やろうと思っていたことは
午前中で終わるはずだった。
起きたら半日終わっていて
昼なのに外は寒い。
なんて生きにくい世界だ。
本に出てくる主人公なら、
昼に起きたぐらいで
やる気を無くしたりしないし、
午後に頑張ろうとしたりするだろう。
でも私は主人公じゃない。
誰かが主人公の
誰かの物語の
ただの脇役。
村人Aや通行人辺りだろう。
ちょっとしたことでやる気を無くすし、
午後にやろうとも思わない。
自分のせいで予定がズレただけで
1日を捨ててしまうような人なのだ。
家で1日中ゴロゴロ。
決して有意義な時間とは言えないが、
やる気が無いのであれば
何も出来まい。
"Good Midnight!"
こうやって時間を無駄にしていく。
いつまでも、いつまでも
私はこのままなんだろうなぁと、
寒さのように身に染みる。
大人はみんな
大人のフリした子どもなんだ。
歳を重ねても
今と昔じゃあ
変わらないような気がして、
今が昔になるのか
昔が今なのか、
曖昧になるくらい微々たる差。
死ぬのが怖いんじゃない。
年齢が上がるごとに
その年齢に相応しい
大人とやらのフリを
強制されるのが怖いんだ。
自分と同じ年齢の人は
みんな
大人みたいで大人のフリが上手。
悩み事を抱えながら
酒で自分に誤魔化して、
泣きながら会社に行ったり、
外が恐ろしくて
家から出られなかったり。
20歳ってのは
社会からしたら
まだまだひよっこだしさ、
これから!って
期待もされる1年だろうけど
苦しくなったら
大人のフリなんか
辞めちまえばいい。
好きなことを好きなだけして、
好きな物に囲まれて、
幸せになっちゃえばいい。
たとえ一時的な幸福感だとしても
それは大人のフリをした子どもに
必要なことだから。
"Good Midnight!"
今日もいい真夜中。
涙が溢れても
上を向くから強いんだなぁ、
大人のフリした子どもってのは。
星が輝く真夜中。
薄らとした路地に現れるのは
うさぎの耳やしっぽが生えた
白髪の少女。
うさぎの少女はどういうわけか
夜中にしか姿を見せず、
目を離せない程、煌びやか。
毎夜毎夜うさぎの少女は
白雲峠へ行っている。
狐に似た人や
猫又に会っているのだろう。
あの峠は不思議な人達が
いつも集まっているからな。
ネブラスオオカミとも
仲良くやっているのだろう。
さて、
そんなうさぎの少女は
何をするために、
何のために現れるのか。
それは金や値が高くつくものを
奪うためだと言われている。
が、しかし。
巷の奴らの噂は
当てが外れるどころではない。
うさぎの少女は
居場所を求めて探し回っているのだ。
朝や昼間は月に、
夜は地球にいる。
月には
うさぎの少女に居場所が無いのだ。
皆うさぎなのに、
自分だけうさぎモドキで。
月にいる獣人は、
昔から大変な思いをしてきた。
特にうさぎは寂しがり屋なので
苦労しただろう。
誰にも相手されない中で
一生居ろと、ここで死ぬのだと。
地球は暖かく
うさぎの少女に過ごしやすい環境である。
白雲峠の奴らは
少し過保護だが、
優しくていい奴らだ。
"Good Midnight!"
うさぎの少女の思い出に、
いつかなってくれるのだろうか。
あの消えそうな三日月は。