るに

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10/10/2025, 3:38:05 PM

秋風の吹く夕方。
一輪のコスモスが咲いていた。
夕日に照らされ、
真っ白なコスモスは
鮮やかなオレンジ色に染っていた。
見たことがないほど
真っ白なコスモスだった。
これほど綺麗な花が咲くってことは
誰かが水と愛情を
たっぷり注いだんだろうと思った。
私はその一輪を愛おしく見つめた。
ずっと眺めていたい。
ずっと、ずーっと。
そんな考えが
なぜか頭から離れなかった。
花を折りたいわけじゃない。
持ち帰りたいわけじゃない。
なのに手はどんどん茎に伸びていく。
どうやって咲いたのか、
どこの水を与えられたのか、
どこから来たのか。
知りたい、もっと見たい。
ぐるぐると
思考が支配されかけていた時、
私の手を誰かが引き止めた。
癖毛の可愛い子だった。
その子は一生懸命話をしてくれて
私の気を花から逸らそうとしてくれた。
次第に癖毛の子に意識が吸い込まれていく。
気づくともう19時で
癖毛の子と別れた。
"Good Midnight!"
このままじゃ依存するよ。
どこからかそんな声が聞こえた。
花はあの癖毛の子が育てたものだと、
癖毛の子は人を魅了しすぎると。
私は無視して家へと帰った。
頭の中はもう癖毛の子でいっぱいだった。

10/9/2025, 2:48:41 PM

1年振りの秋の紅葉に
焦がれ憧れたこの気持ちに
秋恋と名付けてみたりして。
どこにも片付けておけない気持ちは
さっさとゴミ箱に捨てちゃって。
挫折なんかもした事があって、
その時ハッキリ思った。
あぁ私、世界舐めてるなぁって。
あらゆる分野で言えてしまう。
適当にやってるつもりはないけど
努力的に見ても
客観的に見ても
適当にやってるようにしか見えなくて。
そのくせ楽しいことを探し求めてて。
自分の都合ってやつを
すごく大事にしてて。
"Good Midnight!"
風が強くて涼しい。
私は世界のことを舐めてるように
世界も私を舐めてて
今日も運が悪い。

10/8/2025, 3:21:35 PM

愛する、それ故に
私はその人から
だんだん離れていく。
だってその人私の事なんか
どうせ好きじゃないし、
むしろ苦手だと思うし。
あの私の友達の方が
その人と楽しく話せるし、
可愛いし、面白いし。
きっと友達の方がお似合い。
私はおじゃま虫だから
さっさと居なくならなきゃって。
でも、
どうしても足取りが重い。
だって私も愛して欲しいもん。
好きになってもらいたいし、
沢山話したい。
こういう言えない思いは
涙として外に流して
消してしまう方が楽だって。
なんでかなぁ。
諦めなきゃいけないって
ずっと思うのに
でも…やっぱり…って
私は立ち止まっては振り向くばかり。
"Good Midnight!"
人の幸せを願うほど
自分は幸せになれないって
気づいた時にはもう遅いね。

10/7/2025, 3:34:16 PM

静寂の中心で
誰かがパチンと指を鳴らす。
どこからともなく現れた霧と共に
サァーっと姿が見えてくる。
白髪の少女の正体は
ネブラスオオカミだった。
普段は白雲峠にいるが、
今日は風が強いので
少し風を弱めてもらいに
人里へ降りてきたという訳だ。
少女は迷わない足取りで
ある神社へ向かった。
修行僧が何十人といる中、
一際目立つ者がいた。
1人だけ錫杖を持っている者。
そう、少女が会いに来た人だ。
世間話をして本題に入る。
話はすぐに終わり、
少女は峠へと歩き出す。
さっきの者が500年ほど前より
理解力が上がっていることに
驚きを隠せず、
修行僧をまとめる者はやっぱり凄いなぁと
オオカミに戻っていった。
"Good Midnight!"
そよ風が心地よくなってきた頃、
次は300年後にでも
顔を出そうと空を見つめていた。

10/6/2025, 3:30:02 PM

山の中で燃える葉。
焼け落ちて
焦げて消えていく。
自然を壊すのはとても簡単だ。
だから私は火も兵器も嫌いなんだ。
雨上がりのにおい。
私の大好きなにおいも
火のにおいで消されてしまう。
悲しくて涙が止まらないよ。
龍のお面からボタボタと水が零れる。
そして1度笛をひゅーっと吹くと、
火は消え去り
燃えていたところには苔が生えていた。
天気は黒い雲の曇りから
冷たい雨へと変わっていった。
天気の神。
それはあまりにも
私にピッタリで
天気以外に力を持たないところも
またいい。
"Good Midnight!"
人に雨を恵むつもりは無くとも、
自然を守るためには
こうするしかなかったんだ。

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