秋風の吹く夕方。
一輪のコスモスが咲いていた。
夕日に照らされ、
真っ白なコスモスは
鮮やかなオレンジ色に染っていた。
見たことがないほど
真っ白なコスモスだった。
これほど綺麗な花が咲くってことは
誰かが水と愛情を
たっぷり注いだんだろうと思った。
私はその一輪を愛おしく見つめた。
ずっと眺めていたい。
ずっと、ずーっと。
そんな考えが
なぜか頭から離れなかった。
花を折りたいわけじゃない。
持ち帰りたいわけじゃない。
なのに手はどんどん茎に伸びていく。
どうやって咲いたのか、
どこの水を与えられたのか、
どこから来たのか。
知りたい、もっと見たい。
ぐるぐると
思考が支配されかけていた時、
私の手を誰かが引き止めた。
癖毛の可愛い子だった。
その子は一生懸命話をしてくれて
私の気を花から逸らそうとしてくれた。
次第に癖毛の子に意識が吸い込まれていく。
気づくともう19時で
癖毛の子と別れた。
"Good Midnight!"
このままじゃ依存するよ。
どこからかそんな声が聞こえた。
花はあの癖毛の子が育てたものだと、
癖毛の子は人を魅了しすぎると。
私は無視して家へと帰った。
頭の中はもう癖毛の子でいっぱいだった。
10/10/2025, 3:38:05 PM