毎日辛くて
このまま死んでやろうかと思いながら
横断歩道を渡っている時
救ってあげようか。と、
すれ違いざまに言われた。
驚き振り向くと
一つ目の描かれた
昔のお面のようなものをつけた人が
こちらを見ている。
あの、!と声をかける前に
わかった。と言われた。
振動が来て
電話かとスマホを出すと
古い鳥居が映った。
そして気がつくとその鳥居の前で倒れていた。
潜ると神社があって
そこには
さっきの人みたいなお面をつけた人、
一つ目の描かれた紙をつけた人、
一つ目の描かれた竹傘を被った人など
大体30人くらいの人がそこにいた。
さっきの人は
急に目の前に現れたと思うと
私に紙をつけた。
意外にも一つ目のところから目が見えて
転ばずに済んだ。
いきなりみんなが
手から杖を出して
常闇幻日。
そんな声が聞こえたかと思うと
今度はみんなどこかへ行ってしまった。
それからはずっと神社にいた。
薄暗いのはずっとのようで
私は杖を出す練習をした。
この人たちは謎だらけだけど
なんだか居心地がよかった。
"Good Midnight!"
現代っぽさも私も捨て
そっと寄り添うように苔の匂いがしてくる。
輪廻を廻す私たちは
今日も常闇幻日と。
ずっとずっと
友達が大事で
全部失っても
友達さえいれば何とかなる、
別に大丈夫なんて考えてた。
たまに
友達の嫌なところとかを見つけた時 は
我慢するのが礼儀とか思いながら
目を逸らしてた。
でもそんなんじゃなかった。
私の考え方は変わってた。
変だった。
おかしかった。
そう言われた時は
じゃあ友達は大事じゃないのか。
友達なんかいなくても
自分で自分を幸せにできるのか。と、
何かが吹っ切れた。
身が軽くなった私は
少しの荷物を持って
海外に向かった。
趣があるお城、
妖精がいそうなカフェ、
雪山に囲まれた自然。
全てが私の興味をそそった。
ちょっとした事で気に病む私は
私じゃないみたい。
"Good Midnight!"
死にたくなるほど
生きたかった私は
まだ見ぬ景色を求めて。
友達がマンションに住む夢を見た。
その友達は
よくお昼ご飯のおかずを
分け合う仲だったから
一戸建てのイメージが定着してて、
マンションに住んだって言われた時は
嘘だ〜!と大きな声で言ってしまった。
嘘だと思うなら今から来なよ〜。
ついでにローストビーフ分けてあげる。
聞いた瞬間お腹が鳴って、
ダッシュで地図を見ながら
マンションに向かった。
着いたら友達は
部屋が多いから迷子にならないように
紹介するね。と言い、
10個くらいのドアを開けて
1つずつ紹介していった。
丁寧すぎて内容が入ってこなかったけど、
頭の中はローストビーフでいっぱい。
じゃあ、ローストビーフ渡すね。と
友達が冷蔵庫を開けたところで
目が覚めてしまった。
うわぁん!
貰えると思ってたから
お腹はずっと空腹のまま。
早く夜になれ!早く夜になれ!
朝から連呼する。
友達には夢の内容を話し、
大笑いされた。
瞼が重くなってきた夜中。
私が泣かないように
地球が回転してると仮定して
あの夢のつづきをもう一度。
"Good Midnight!"
朝、
寝そべったままくしゃみをして
咳を2回。
寒い朝には
まだまだ慣れない。
靴下を履いても、
スリッパを履いても、
足が冷えて温まらない。
やることが無くて、
特に朝は頭が働かないから
長方形の紙で
何故か紙飛行機を作る。
気づいたら5つも出来てて
適当に飛ばして遊ぶ。
また要らんものを作ってしまった。
毎回思うのに
目を覚ますには紙飛行機が1番いい。
年明け早々財布の中が貧しい私は
頻繁に本が買えない。
新巻買いたいとしか考えない私の脳が
ある小説に目を向ける。
「無垢なる花たちのためのユートピア」。
その中の「卒業の終わり」が
1番のお気に入りで
初めて読んだ日から
頭から離れなくなった。
自分も気づかないうちにこんな風に
裏で何かがあるのかなって
怖くなったり
もしかして嘘ついてる?って
疑心暗鬼になったりしたけど、
結局は私の好きな話。
洗面台で顔を洗おうと
水に手を触れると
想像よりずっと冷たくて
ギャー!っと
少し大きな声を出してしまい、
黒猫がびっくりして私に飛びつく。
謝りながら顔を洗い
コタツに移動する。
あたたかいね。
きょうはずっとここにいたいね。
そんな独り言のようなことを呟く。
黒猫もコタツに入って二度寝する。
"Good Midnight!"
のんびり朝を過ごせたんだから
夜もいい夜になりますように。
このままずっと
あたたかいままで。
パラパラと
また雨が降ってくる。
薄着なのに寒くなくて
どこか寂しい真夜中。
本に手を伸ばしてみるけど
読む気にはなれなくて。
今、月が落ちてきたら
夜を照らしてくれるのは
太陽になっちゃうのかなとか、
私が苦手なあの人も
どうでもいい人も
みんないつかいなくなるなら
私からいなくなりたいなとか、
よく分からないことを考えては
すぐにやめる。
儚さを求めてるわけではないけど
どこかの誰かさんと同じで
明日が怖くて
とにかく今日に閉じこもっていたいって
毎日思うただの人間。
ネガティブが飛び交う真夜中は
今が幸せかって言われたら沈黙するけど
世界と比べて今は幸せかって言われたら
幸せですって言えるここに
ずっといたいと感じる。
やっぱり本は読んだ方がいい。
次第に雨は強く細かくなって、
冷たい風が吹き込んでくるから。
その冷たさの中で
暖かさを見つけられるように
補助線を本で引くのはいいこと。
2、30分読んで
ようやく今夜のお供の登場。
そう、いちご大福。
おはぎと迷ったけど
甘々よりかは
甘みの中に酸味が欲しかったから
いちご大福。
最近はひと口で食べるのにハマってる。
今日もひと口。
口についた粉を拭き取り
ベランダに出る。
思ったより寒くて鳥肌が立つ。
真夜中の信号は明るくて
1つ、また1つと
赤になる光は
綺麗で何故か泣きそうになる。
"Good Midnight!"
孤独の夜。
信号の赤。
未来への鍵は輝くばかりで
無くしたまま。