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11/15/2024, 12:58:56 PM

子猫

「えぇ〜! おい!また猫かよ神様!」
「ああ、すまぬすまぬ間違えた、間違えたがもう生まれてしまったから変えられんのじゃ、後は、また死んで戻って来たら話そう、まあ、ゆるりと見物しろ、今度は生まれながらの飼い猫じゃ、まあ、達者で暮らせ」
「何が、達者で暮らせだ!ヘボ神様、何度も何度も猫に生まれさせやがって!もう何周目?いや、もう百万回ねこだ!」
「今度は、犬のお巡りさんになって可愛い子猫ちゃんの世話をしたかったのに!」

彼は、百万回猫に生まれ変わって今また神様の手違いで猫に生まれ変わり、子猫から始めることに悲観しているのであった。

「もう、退屈だ、退屈でしょうがない、今度は生まれながらに飼い猫のようだが、日がな一日ぐうたら生活だ、兄妹たちも母親もみんなそうだな、デブだ!ルーティンは決められたこの狭い檻の中、俺の特等席は違うものたちが通り過ぎて行くのが見物出来る場所だけだ、つまらない話だ、そこから日がな一日、目に写り通り過ぎるものをあくびをしながら時に毛づくろいしながら眺め、飯食って、糞して寝るだけだから肥える、見ろ今の俺の姿、ブヨブヨのデブ猫で野生のカケラもない」子猫のくせに爺のような小言を吐きまくるのは、猫百万回目の子猫だから許してやって欲しい。あくびをひとつ、また猫百万回目の子猫は文句をたれ始める。

「俺は、その時誰の猫でもなくて…ってのやっただろこの前、それで白い猫に出逢うんだ、あの白い猫どうしているだろう、また猫に生まれていやしないか?」
「今度は漁師の猫でもなくて、雨の中濡れてカラスに狙われていた子猫だったな、あの時は肝を冷やした、生まれて来たと思ったら逆戻りか、まあ、俺たちは、人間みたいにてめぇでてめぇの命を終わらせるような意気地のない鬼畜でも殺し屋でもねぇから、その最後の瞬間まで生きる、生きるだけだ…まあ、寿命があれば死のうとしたって生きてるもので、その時俺は救われた、書生とかいう人間に抱かれて先生の家に行った、確かあの時は、吾輩とか自分を呼んで、先生の残した酒というのをしたたかに失敬し、したたかに酔って候、いい気持でお勝手場まで歩いて行き、喉が渇いて水瓶の縁に登り中を覗き込んだところで記憶が途絶えた、、、それから何回生まれ変わったろう、何度生まれ変わっても猫だ、猫でしかないな俺、、」

子猫は、その時大きなお屋敷の飼い猫でしたが彼は、猫なので金銀敷き詰められた絨毯も高そうなブランド品の食器にも興味がないのでした、そして親兄弟姉妹たちのように子猫のくせにふてぶてしく肥った野性味のない自分の姿にもため息が出て、そんな自分を「かわいい〜」って、臭い体や毛やベタベタした顔に擦り付けられるのが嫌で仕方がありませんでした、以前は、ここよりも広い広い仕切りのない場所を自由に歩きまわり、狩りをしたり、時に人間にすり寄ってゴチになり、沢山名前を持ち、喧嘩をしボスと呼ばれ、いつか喧嘩に負けて人知れず去る、そんなことを繰り返し、ある、冬の寒い日に縁側で婆ちゃんに「寒かろう、温たたまってゆけ」と言われて縁側の奥のコタツという夢みたいに温かいものに包まれた時、飼い猫ってのも良いなと思い目を閉じたら開かなくなり、それから何度も野良あがりの飼い猫をあの手この手で人間に近づいてはやっていたが、今度は生まれながらの飼い猫だ、何の不自由もなく寒くもなく暑くもなく飢えもなく、狩りも喧嘩も人間で言えば生きるための戦いも冒険もない暮らしだ、ふと子猫は、人間が自分で自分の命を殺す理由が分かった気がしていた。

百万回目の子猫物語

★追記、これは幾つかの物語をリスペクトしてオマージュした物語です、多頭飼いとか飼育方法とか持ち出す物語を読むセンスの無い方には不向な噺ですので悪しからず。


令和6年11月15日

               心幸

11/15/2024, 7:58:33 AM

秋風

もう秋も深まり、秋風も日毎に爽やかさから肌寒さに変わる立冬も過ぎた枯れ葉舞う夕暮れ…ほらほらまた歌いたくなる気分をグッと抑えて
今日はマイルス・デイヴィスの「Autumn Leaves」にしよう、「枯れ葉」直訳「秋の葉っぱ達」ってちょっと笑っちゃうけど情緒に欠けるなぁ、流石英語と思うけど、「秋の葉っぱ達」ってちょっと可愛くもあると思ったのは中学の頃だったろうか、、あの頃は秋とか言えば失恋ソングで女の子は髪を切ったり伸ばしたりするのであったね、「髪は女の命」とかまだ言われていた時代だった、別れて伸ばしはじめた髪が背中まで届いたとか、前髪1ミリ切り過ぎて彼に逢うのが怖いとか、これは男だけど髪が伸びて君と同じになったら結婚しようとか、、ちょっと怖いんですけど、でも今聴いてもクスッとなる可愛らしさと叙情溢れる歌謡曲の詩の世界である。

詩人天才、作家は神。そんな想いは中二病の頃から今も変わらない、あの頃心ときめかせた中二病万歳な歌も文章も、その頃の大人が紡いでいたのかと思うと、中二病は偉大な作家であると想う、物想う秋なのでありました。

秋風が急に冷たくなって来た頃合い、皆様お体ご自愛ください。

秋風に乗せて…枯れ葉よ♪(笑)

11/13/2024, 4:00:48 PM

また会いましょう

今度生まれてくるとしたなら、やっぱり女で生まれて来たい、だけど今度はへまはしないであなたになんか躓かないわ、、と歌いました

顔や体や生まれた場所や目の色や背負うもの全部違っても記憶さえも全て無くしても、また見つけ出す必ず、「怖」な決心を魂レベルで交わし何度も騙し騙される、それが男と女の縁

全部忘れて、はじめましてでも
生きる理由とか心模様が違っても
何故だか背中眺めてしみじみと
でも、「好き」と思う
人混みに紛れて、見えなくなったら
きっと死ぬほど寂しくなってしまう

想い出は、いいとこだけ
リボンをかけて仕舞われる

時は偉大な作家とか
きっと私とあなたを何度でも巡り会わせる

時はダイヤモンドとか
灰色の深い海に眠っても見つけ出せる

また会いましょう、私はそのダイヤモンドを
真夜中の海にポチャンと落として

眼を閉じた永遠という静寂がとても優しかった
ことを覚えている、どれくらい漂っていただろう

また、こうして生まれて巡り会っているのよ
気づかない?私はもう気づいたわ

来世でも、また会いましょう
巡り会わなくて良い人には巡り会わない
自信があるの

だって、魂レベルで分かるから
千里眼か?いいえ、全然違う

閃きがあるの、また会いましょう

手を握り締め
もう開くことない今生の瞼に口吻て…

永遠という物語でした


令和6年11月12日

                心幸






11/12/2024, 12:40:41 PM

スリル

スリルのある暮らしは、物語の中だからこそ楽しめるとは、大人なら心得ていたい。

本当は誰でも細やかで平凡な暮らしの大切さを知っている、守られるべき倫理観や道徳もね、そういうものを現実も物語やエンターテイメントも区別が出来なくてなってしまう人って、少し前に「ジョーカー」真似て世の中を騒がせた人みたいな人なのかな、、そこにハードルを合わすと、文学とかエンターテイメントとか死んでしまうね、「月が綺麗です」の夏目漱石の「こころ」は略奪愛で「それから」は、不倫の物語だし、川端康成の「雪国」もそうだ。みんな、日常では、ちょっと味わえないスリルと割り切ってそれらを読む、現実で女と自殺未遂ばかりしている太宰治は「走れメロス」なんて有り得なく真っ直ぐで誠実で強い生命力漲る友情ものを書いてみたりと現実と物語はしばしば反比例する、日常生活わりと平凡に幸せにのほほんと暮らしているからこそ、たまにスリルのある物語やエンターテイメントでドキドキするのであろう、きっと、日常で人殺しや傷害や詐欺や不倫なんかを、やってるとそういうものから逃れたくて、倫理観や道徳にやたら正しいものを好むのだろうね、だってそれらは人生の失敗だだから蓋をしたいと思うのが肝っ玉の小さい普通の人間よ、人を呪って人の死を望んで騙して略奪愛に溺れてそんなことを実際にしてニヤニヤニヤけてやってるのってサイコパスでしょ(笑)

スリルはね、ブラウン管向こうやスクリーンの向こう、本の中だからこそ、楽しめるの。

スリルは、それくらいで丁度いい(笑)


令和6年11月12日

               心幸

11/11/2024, 11:16:08 AM

飛べない翼

飛べない翼でも、蝋で固めた鳥の羽でも自由を求めて飛び立った人が居た、赤く燃え立つ太陽に、蝋で固めた鳥の羽はみるみる溶けて舞い散り、彼は落ちて命を喪った、、そんな話はなにも神代の神話だけではない、地球は回ると言った人は裁判にかけられ、投獄され奇人と言われても「それでも地球は回る」と言った。
蝋の羽根で空へと飛び立った神話の人に憧れたのか否かは知らないが、無謀と言われた空を自由に飛ぶ憧れは人類に受け継がれ、何度も先人たちは命を落としながら、それでも夢見、鉄の塊は空を飛びました。

飛べない翼は物理的にダチョウか鶏かそんな鳥の羽であり、想像の翼夢見る翼に飛べない翼などないと想える。

そりゃあ、なんにも無かった頃の人たちは、自由にやれて、想像出来て良かったよねと、なんでも揃えられて与えられた、私たちは想うのかも知れないけれど、「無」の状態に光る雫を垂らし最初の輝きになる人々の努力や力も評価されるべきであろうと、与えられた世の中に生きながら想い、ここから前に進むのに飛べない翼などないと想いたい。

人間の想像力と勇気に献杯。


令和6年11月11日

               心幸

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