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5/25/2024, 12:52:05 PM

降り止まない雨

五月の雨は冷たくて
貴方の白い車探しかけてしまう

冷たい雨は傘を叩き
悲しい歌を歌い始める
あの日カーラジオから
流れていた曲
あの日の雨を思い出させ

待ち合わせた交差点
ふと足を止めた
もう、終わったはずなのに
あの日と同じ5月の雨が
あの日の曲を思い出させ

あの頃の優しさが
流れてゆく
貴方の姿も
今は、流してゆくように
降り止まない雨に描き

わたしは身を任せた
行くあてなく
ただ彷徨い
風の中の
降り止まない雨よ

そいつは二人の
約束と夢物語
今じゃ行先を
見失い、今じゃ
夢さえ何処にも見当たらない

降り止まない雨よ
もっと激しく
降り続けて
渇いた喉に
空っぽの心を満たして

あの日二人で
見た夢物語の
子守唄みたいに
何もかも流して
想い出を洗い流しておくれ

冷たい五月の
五月雨よ
降り止まない雨よ
全てを育む
五月雨よ季節を変えておくれ


2024年5月25日

心幸





5/24/2024, 4:05:29 PM

あの頃の私へ

心配ないからね
君の思いが
必ず届く
明日がきっと来る…

と、言いたいけれど

もしも、あの頃の私に言葉をかけるなら
じゃない方にも生きてみる価値はあったのかも知れないってこと…と、すると今は消えてしまうのだけれど、じゃなかった人生もちょっと見てみたい気もするけれど、もしかしたら小さな決心の積み重ねひとつひとつじゃない方をえらんでも、ここに辿り着くんじゃないかな?とも思う。

生徒たちの人混みの中で自然に貴方の横を並んで歩いていて、はじめての小さな決心の朝も並んで河原を歩いていたけど、もしもあの時進路を貴方に合わせていたなら私たち別れなかったのかしら…。うーん、あの頃の私も貴方も二人の未来予想図よりも自分の未来予想図だったよね、、随分泣いたけどやっぱり同じ道を選ぶんだろうね、だってまだ何者でもなかったのね私たちは自分が何者かに非常になりたかったしなれる気がしていたから。

結局、何者かになんて大してなれなくて、当たり前に生きるこの世界の片隅に誰かと共にということに行き着くまでの航海の始まりだったから。自分の手で漕ぎ出したかったよね私たち。

もしも、その場所に留まったならとも考える
それはそれで幸せだったじゃない方の人生だった?そうすれば貴女は少し長生きしてくれた?もっと貴女の側にいれたのかしら、、でもそれはきっと貴女は許さなかったろう。「ここには戻るな」と言った貴女は厳しくて強い。そして私に人生をくれた人だったから。

貴女の教えを胸に少し広い世界を知りました。
へその緒切った場所にしか居れないじゃなくてへその緒切った場所より外に命を運びました。
ドンブラコスッコッコ♪ 流れ流れてそう大して壮大でも偉大でもないけれど、共に生きる人を見つけ貴女のそのまた前の貴女の私の中に眠る種を外に出しました。

こうして、広がって行きますようにと願いを込めてね、任務完了って思ってますよ。

あの頃の私へ
悲しむことはありません
悲しむことの沢山ある人生だけど
ちゃんと初志貫徹
少し広い世界を知りました
貰った種を外に蒔きました。

だから、間違っても傷ついても泣きはらしても
顔を上げて生きて下さい。

生きてるだけで
それで、大丈夫だから。

あの頃の私へ…。

2024年5月24日

心幸


5/23/2024, 3:23:15 PM

逃げられない

逃げられないものってあるだろうか?
なんでも、好きなように生きれる時代に国に生まれ
なんでも、選べる時代に国に生まれた。

嫌なことからは逃げればいい

学校も仕事もべつに逃げられないものじゃあなくなった。

借金取りが来たら
自己破産

恋愛も結婚も
嫌ならやめることを恥とはしない時代になった

親が社会が世の中が同僚が友達が
僕を理解しない僕らは社畜じゃない
仕事からも逃げることは簡単だ
寄生出来る親さえいれば
子供部屋のパラダイス

たまに出てきて
弱った母親相手に
ネットニュースで
やってる、言ってるニュースを
自分が体験して来たみたいに
世界情勢について語っていればイイ

そして呆れた
ばあちゃんに
言ってるお前が働けと
言われていればイイ
そしてまた
子供部屋に
逃げ込めばイイ


この時代にこの国で
逃げられないなんて
病の余命宣告
くらいではないだろうか


赤い紙切れ1枚で
戦場に向かい
強制的志願で
志願して
特攻して逝った
若者たち


親の作った
借金のかたに
身売りの娘

貧しい親兄弟を
支える為に
雪山越えて
売られる少女たち

そういう
時代や国には
逃げられないものが
不条理があったのかも
知れないが

今この時代この国で
逃げられないものなんて
寿命くらいしかない気がして


こういう贅沢も
贅沢と気づかずに
生きてしまう幸せ

きっと、逃げられない
逃げなかった過去の人たちが
くれたものだと
せめて感謝したいと思う


逃げられないものなど
寿命くらいしかない
この時代この国で


2024年5月23日

心幸





5/22/2024, 2:31:36 PM

また明日

ここまで生きてくると

「また明日」と言いながら
会わなくなった人の多さに驚く。

これが永遠の別れと思いながら
別れることなんてあるのだろうか?
とさえ思う。

「またね…」
手を振り
何時ものように
別れて会わなくなった友
友達はレストランの皿洗いのように
変って行く

「またね…」
あなたは、大きく手をあげた
何故だか私は
もう一度振り返った
今もあの時の父の姿を
覚えている

どうして
こんなに
別れは辛いのだろうね

だから
「またね、また明日」
そんな可愛らしい
言葉を呟くのかな

ランドセルを
背負った帰り道
別れ道で
友達に手を振るみたいに

「また、明日…」

それが、もう会わない
最後の日であったことは
ずっと後で知ることになっても

「また、明日…」

一期一会

2024年5月22日

心幸



5/21/2024, 4:28:23 PM

透明

僕は透明だった
全てが僕を通り抜け
誰も僕に気づかなかった

あの日大陸の
広い広いサトウキビ畑で
鉄砲を担いで
殺して殺され
広い広いサトウキビ畑で
鉄砲を担いで
突っ伏した

…それから、ずっと
僕は透明で
全てが僕を通り抜け
誰も僕に気づかなくなった

通り抜ける風に乗り
僕は懐かしい故郷に帰った
お母さんは待っていた
お父さんも待っていた
君も待っていた

けれど

透明な僕に
誰も気づかなかった

みんな泣いていた

僕なら、ここに居るよ
そう言っても
そう叫んでも
僕の声は届かなかった

僕は透明で
そこにいた
ずっとそこにいた

君のそばに

ずっとそうしていた
ずっとそうしていたかったから
そうした

やがて、何十年の月日が流れた

君は母親になり
君はお婆さんになった


そして君は居なくなった…


けれど、透明なそこにいる僕は
居なくなることが出来なかった
どうして?
僕は悲しくて悲しくて泣いた
夜中泣いた
風がそっと教えてくれた

僕は人殺しにされたから
君と
同じところには
行けない

透明のまま
歳ならあの日のまま
鉄砲を担いで
そこに居なければならない

僕はそのことを知った時
僕にそうさせたものを憎んだ
けれど、咄嗟にやめた
何故なら、それは僕が信じた
その時の
精一杯だったから

僕は静かに目を閉じて
顔を天に向けて

そして君の名を
呼んだ

その時声が聞こえた
星のように煌めき揺れながら
その声は
僕を抱いた

僕は後悔なんてしていないよ
あれがあの時の
僕の紛れもない精一杯
だったから

僕は愛するあなたを
守れたかい?

同じところには
行けなくても
透明のまま
ここにいるよ

君の子供たちも
やがては孫たちも
いることだし

僕は透明のまま
愛するものたちを
見守るよ
いいだろ?

それからまた
幾年流れ
ある夜

流れ星が流れた
その先に光は落ちて
君が居た

どうして?と尋ねる僕に
私は居なくなったんじゃない
あなたとまたこうして会うために
あなたの様に精一杯命を使ったの

だから、これからは
あなたとここにいる
透明な私たち

何時までも一緒に

あなたの居る場所が私の極楽浄土

2024年5月21日

心幸



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