「父の想い出」
父は文学青年の成れの果てのような人で、夜よく星を眺めながら、父創作の実は色んな名作を足して脚色したような物語を聴かせてくれた。
随分田舎に住んでいたので、その頃夜空の星は近くて、星はいっぱいあって手が届きそうで、そしてまた、吸い込まれてしまいそうな得体のしれないゾクゾクとした怖さもあった。
夏の夜は縁側に座り父の横でその星空を眺めながら父の物語を聞いた。冬の夜は、深夜勤務で真夜中に出勤する父は私が受験勉強や試験勉強をしていると、夜食のラーメンを部屋に持って来る。
「早く寝ろよ」と声をかけ自分は仕事に向かう。ラーメンを啜りながら、父が出て行くバイクの音を聞き窓を開け「いってらっしゃい、気つけてね」と声をかける、なぜだか何時も心配で、もう会えないんじゃないかと不安になって勢いよく窓を開ける。深夜の冷たい風が突き刺さるのを跳ね返すように大きな声で。
見上げると吸い込まれそうな満天の星空の下に小さな小さな私たち親子がいた。
父が身罷った初七日忌の夜に、私はこの星空の夢を見た、父が夢枕に立ち物語を聴かせてくれていた時のように私の髪を撫でたその感触を今も覚えている。
「行かないで…」何故だかそう呟いた瞬間父は優しい笑顔を浮かべて消えた。
目を開けると私の頬は涙で濡れていた…
冬の夜。
窓を開ければ、子供の頃に父の隣で見上げた満天の吸い込まれそうな星空が広がっていた。
あれから何年も経ち、あの頃と違い星空は随分遠くなり星の数も少なくなったような気がする。
それでも、たまに寂しくなると星空を見上げながら父を想う。
星空の下で。
2024.4月5日
心幸
燎平は、大学時代を新設の大学で一からテニス部を作りあげて行くことに、その仲間たちと奔走した。
何でもない、青春の日々の一瞬一瞬が今走馬灯のように脳裏を過ぎゆく。
燎平とその仲間たち、親友でありテニス部の初代キャプテンを務めた 慎一。
燎平のマドンナ夏子とその親友でもあり燎平に片想いの裕子、テニス部のヒーローだった克己
と異端児の朝海。
プロ野球選手の夢を諦めてミュージャンを目指すガリバー。
それぞれの葛藤と友情そして恋。
よく、転がっている青春時代の残り香は初夏の木立を通り抜けた日を思い起こさせる…。
裕子は、燎平とすれ違ったまま見合い結婚をします。
歌手デビューしたガリバーは、足もとをすくうように女に溺れチャンスを逃してしまいます。
そして夏子は、略奪愛から駆け落ちをし、その男に捨てられました。
燎平と夏子は卒業試験の追試を受けました。
二人並んで帰る帰り道、夏子は燎平に
「私みたいな傷物はいや?」と聞きますが燎平は答えることが出来なかった…。
夏子と別れた後 燎平考えました。
皆、大切な何かを喪った。
でも、自分だけは、何も喪わなかったのではないか。
何も喪わなかったということは、実は数多くのかけがえのないものを喪ったと同じではないだろうか。
燎平は、何も喪わなかったという喪失と混沌とした青春時代の哀しみを身に沁みて味わったのであろう。
風が変わって
季節が変わったから
歩いて行こう
それでいい。
宮本輝著書 「青が散る」引用。
2024.4月4日
心幸
「瑠璃色の地球」
夜明けの来ない夜はないさ
あなたがポツリ言う
燈台の立つ岬で
暗い海を見ていた
悩んた日もある哀しみに
挫けそうな時も
あなたがそこにいたから
生きて来られた
朝日が水平線から
光の矢を放ち
二人を包んでゆくの
瑠璃色の地球
泣き顔が微笑みに変わる
瞬間の涙を
世界中の人たちに
そっとわけてあげたい
争って傷つけあったり
人は弱いものね
だけど愛する力も
きっとあるはず
ガラスの海の向こうには
広がりゆく銀河
地球という名の船の
誰もが旅人
ひとつしかない
私たちの星を守りたい…
作詞 松本隆
口ずさむ時は
何時もひとりで
ひとりだけの
人を想う
このたったひとつの星で
このたったひとつの時に
出逢えた奇跡
互いに
ひとつしかない
私たちの命を守りたい
100年後の来世でも
このたったひとつの星で
このたったひとつの時に
めぐり逢いたい
ひとつしかない
互いの命を抱き締めて
たったひとつの瞬間に
たったひとりのあなたと
めぐり逢いたい
そう願う人たちのために
たったひとつの
この星を守りたい。
2024年4月3日
心幸
「道」
この道は、あなたのもとに続いていると信じています。
笑い悩みしくじり涙し
励まされ騙され騙し
傷つき傷つけ
やがて日が暮れ
あなたのもとに帰れると信じています。
来た道に背を押され
あなたのもとに続く
この道がこそが
私の大切なもの
2024年4月2日
心幸
続編
「先生、ボク2054年から来ました」
「誰?」
「ボクです、ボク1986年に先生にタイムマシーンは作れるよお前が作るんだよって言われて2024年で作ったけどスポンサー居なくなって挫折して、もう先生と会えないかと思っていたけど、どうしても、どうしても会いたくて、今度は掘りました、何処までも何処へでもいけるドアです、先生好きな時代に行きましょうよ、ちょっと待ってその前に先生どうしても、どうしてもと息子が言うからボクもやっぱり、先生と先輩に生きていて欲しいから生きていてもらわないと2054年の未来が変わっちゃうんですよ、だから行きましょうよ1995年へ2人を助けに…」
「もう息子は先に先輩を助けに行ってます」
2026年 冬 こうして続編は始まる。
2024年4月バカ
心幸