燎平は、大学時代を新設の大学で一からテニス部を作りあげて行くことに、その仲間たちと奔走した。
何でもない、青春の日々の一瞬一瞬が今走馬灯のように脳裏を過ぎゆく。
燎平とその仲間たち、親友でありテニス部の初代キャプテンを務めた 慎一。
燎平のマドンナ夏子とその親友でもあり燎平に片想いの裕子、テニス部のヒーローだった克己
と異端児の朝海。
プロ野球選手の夢を諦めてミュージャンを目指すガリバー。
それぞれの葛藤と友情そして恋。
よく、転がっている青春時代の残り香は初夏の木立を通り抜けた日を思い起こさせる…。
裕子は、燎平とすれ違ったまま見合い結婚をします。
歌手デビューしたガリバーは、足もとをすくうように女に溺れチャンスを逃してしまいます。
そして夏子は、略奪愛から駆け落ちをし、その男に捨てられました。
燎平と夏子は卒業試験の追試を受けました。
二人並んで帰る帰り道、夏子は燎平に
「私みたいな傷物はいや?」と聞きますが燎平は答えることが出来なかった…。
夏子と別れた後 燎平考えました。
皆、大切な何かを喪った。
でも、自分だけは、何も喪わなかったのではないか。
何も喪わなかったということは、実は数多くのかけがえのないものを喪ったと同じではないだろうか。
燎平は、何も喪わなかったという喪失と混沌とした青春時代の哀しみを身に沁みて味わったのであろう。
風が変わって
季節が変わったから
歩いて行こう
それでいい。
宮本輝著書 「青が散る」引用。
2024.4月4日
心幸
4/4/2024, 3:18:23 PM