黄桜

Open App
9/20/2023, 4:20:11 AM

正しさとは刃物だ。それ故に自分も他人も容易に傷つけてしまうものであり、誰かを救済するために使う事は向いていない。けれど、正しさがなければ秩序を保てない。私達が普段から享受している平和は正しさという狂気の上で成り立ってるからだ。
けれど、先程書いたように正しさは誰かを救済するには向いていない。だから、私は他者に優しさを使う。優しさは布であり、正しさである刃物を包む事ができるからだ。
だが、1つ忘れてはいけない事がある。それは刃物は包まれただけで形を失ってはいないという事だ。だから、我々は忘れたくても思い出してしまう。そこには変わらず刃物があるからだ。けれど、貴方達は忘れている、それが何であるのかを。
だから、時間よ止まれ。私達は自分と対話する時間があまりにも少なすぎるのだ。

自分を正しく見れる目を持ち、他者を傷つける覚悟の優しさを持て。

お終い

9/13/2023, 10:05:10 AM

夜明け前、早起きの者はすでに動き出す時間帯だ。私もその1人で、太陽が顔を出すのを窓ガラスの前で待っていた。まだ、暑い季節だけれどこの時間帯はまだ涼みがある。
だから、皆が動き始める時間帯が好きだ。世界に命を吹き込むように太陽は上り始める。そして、我々に温もりを分けてくれる。

夜明け前、動き出すのは誰だ?

お終い

9/11/2023, 10:19:45 AM

画鋲が外れてカレンダーが床に落ちる。ドアを開けば、その風圧で簡単に画鋲が外れてカレンダーが落ちては、カレンダーを元の位置に画鋲で固定する。これの繰り返しがもう3ヶ月続いていた。
ならば、新しい位置に画鋲で固定すればいいのではと思うだろう。だが、そう上手くはいかないのだ。なぜなら、このカレンダーは職場の物であり、各々の予定を書き込んだりするもので無闇に動かせば何を言われるか分かったものじゃないのだ。そのため私は、当分このカレンダーに気を向けて行動しなければいけないようだ。

カレンダーに困らせられるなんて思いもしなかった。

お終い

9/10/2023, 10:40:00 AM

偶然ではあれど、それは必然だったのだろう。君に出会い、多くの知識を得た。君が笑うと、私はつられて笑った。君が泣いても、私は泣けなかった。君が私を守れば、私は君を支えた。君が死ぬ時、私は生きる事を選んだ。
私は、体の左側の感覚が失われるのを君の死によって自覚した。少し違う私達、けれど、どこか同じだった私達。

生きるのならば、喪失感は共にあれ。

お終い

9/8/2023, 10:48:24 AM

私は、もう走りたくないという気持ちになっていることに気づいた。嫌いなはずの体育でマラソンをしている。6周を終えた頃には息を吸うだけでも肺が痛んだ。なぜなら私は、運動部ではないので体力が格別ある訳では無いのだ。
だから、マラソンなんか嫌いだ。汗をかけば肌がベトベトと湿り、まるで蛞蝓が這っているようでただでさえ下がっている気分が底につきかけていた。気の抜けた頭で走り続けていた所にゴールテープが見えた瞬間、私は最後の力を振り絞って駆け抜けた。少しづつ足の速度を落としていく。私の心臓は、太鼓を連続で叩く時のように力強く血液を全身へ送り出していた。

胸の鼓動が静まる時が待ち遠しい。

お終い

Next