黄桜

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私は、もう走りたくないという気持ちになっていることに気づいた。嫌いなはずの体育でマラソンをしている。6周を終えた頃には息を吸うだけでも肺が痛んだ。なぜなら私は、運動部ではないので体力が格別ある訳では無いのだ。
だから、マラソンなんか嫌いだ。汗をかけば肌がベトベトと湿り、まるで蛞蝓が這っているようでただでさえ下がっている気分が底につきかけていた。気の抜けた頭で走り続けていた所にゴールテープが見えた瞬間、私は最後の力を振り絞って駆け抜けた。少しづつ足の速度を落としていく。私の心臓は、太鼓を連続で叩く時のように力強く血液を全身へ送り出していた。

胸の鼓動が静まる時が待ち遠しい。

お終い

9/8/2023, 10:48:24 AM