題:赤の花火
❁七夕
今日は“七夕”という日らしい。
ハイラルでも七夕には祭りが行われる。
祭りの内容は、主に短冊という紙に願い事を書き、笹という外国の植物にそれをつける。
私は特に願い事は決めてないけど……リンクと屋台回るの楽しみだな。
「お待たせ」
「あ、リンク!」
いつもと変わらない、そんなリンクが私は好き。幼馴染だし。
「じゃあ、行こっか」
「うん!」
リンクと手を繋いで進む。この人混みじゃ迷子になるかもしれないし。それよりも……。
ーーリンクの手、温かいな。
リンクと手を繋いでいられるのが嬉しくて、ついつい手に力が入ってしまう。
「ん、どうしたの?ミファー」
「あ、ううん、何でもないの」
本当のこと、言えないよ。
❁花火
屋台を回りきった私達は、願い事を書きにいった。
「短冊書き終わったら、ここ集合ね」
「うん、分かった」
私達は願い事を書きに、それぞれ別れた。
何書こうかな。事前に決めてれば良かったな。リンクと行けるのが楽しみで考えてなかった。
……誰も見ないだろうし……。
『リンクに“好き”と言えますように』
本音。これは叶えてほしいな。
私は短冊を笹に付けようとして……リンクの名前があることに気付いた。
何て書いたのかな。失礼だけど……ちょっと見ちゃおう。
『ミファーに告白できる勇気をください』
……。
いやちょっとちょっと!?間違いだよね!?念の為もう一回……。いや書いてある!ちょっとこれはオーバーなのでは……?私も似たようなこと書いてるけど!!
手が震えて中々付けられなかったけど、なんとか付けることができた。
集合場所に集まって。
私達は花火を見た。周りに障害物は何も無く、とても綺麗に見えた。
「ねえミファー」
「なあに?」
青色の花火が終わろうとしている。
「俺、ミファーのこと……好きなんだ」
リンクが言い終えたのと赤い花火が上がったのは、同時だった
神様、これは夢ですか?でなければここは天国でしょうか?
リンクと買ったお揃いの青と白のブレスレットが鳴る。
ーー私も、好きだよ。
「……私も、好きだよ」
この告白の時は、花火の時限定でしょうか。
お題『願い事』
題:夏の終わりまで
私は生まれて初めて、恋に堕ちました。
その相手は人気者で、誰にでも優しく、信頼されていました。
何度も告白しようと思いました。でも、勇気が出なかった。
私はよくその人と話していました。話す度、心臓がドキドキと煩くなるのです。
そして、友達から聞いたことなのですが、その人には好きな人がいるのだそうです。
もしかして私かも、という淡い期待もありましたが。
見てしまったのです。
その人は隣にいる美しい金髪の女性と、とても楽しそうに、少し頬を赤く染めて。話していたのです。
私は悟りました。
ーーああ、貴方の好きな人は、その方なのですね……。
胸が締め付けられるようでした。
でも、その人は本気であの方が好きなんだという現実は変わりません。
だから、私は……。
だから私は、その人を諦めました。早くあの方と幸せになれることを願って。
私の初恋は、秋に入る前に、終わりました。
お題『空恋』
題:波音に癒されて
ザザーと、波の音が聞こえる。
ロゼッタは一人、夕日の光をうけてオレンジ色に輝く海を眺めていた。
波の音は耳障りが良く、癒される。
静かで心地よくて。疲れが吹き飛ぶ。
今ロゼッタがいる所は、オキナワという所の『与那覇前浜ビーチ』。白い砂浜と青い海のコントラストが美しい海だ。
ーー次はチコ達も連れてこようかしら。
波音に耳を澄ませながら、ロゼッタはそんな事を考えていた。
お題『波音に耳を澄ませて』
題:吹き抜ける風
気持ちいい風が私の横を通り抜ける。とても暑い今の時期には丁度いい風。
全く、夏は暑すぎて嫌になる。チコ達も体調を崩しやすくなっているし。夏は大変だ。
ーーもう少し涼しくなってほしい。
本音を心の中で漏らす。これは誰もが思っているだろう。
「暑そうね」
「わっ」
不意に声を掛けられ、肩が跳ねた。後ろを振り返ると、ピーチさんが立っていた。
「日傘の中入る?」
「暑いので、お言葉に甘えて」
そう言って日傘の中に入れてもらった。日を遮るだけでもさっきよりも全然マシだ。
「あ、ピーチさん、今は王冠付けてないんですね」
「だって太陽の光を集めて熱くなるんだもの。自分の王冠触ってみなさいよ」
「そうですか……熱っ!」
「でしょ?」
なるほど。一つ知識が増えた。これから活用していこう。
「心地よい風のことを『青い風』って言うみたいよ」
「国語の問題ですか?」
「違うわよ、ただの豆知識」
「へぇ~」
じゃあ最初に吹き抜けていった風を『青い風』って言うのかな。確かにあれは心地よかった。
「では、天文台も暑いので、これからその『青い風』を天文台中に吹かせましょうか……」
「あら、良いわね。そうなったら遊びにいってもいいかしら」
「もちろん。待っていますよ」
また、『青い風』が私達の間を吹き抜けていった。
お題『青い風』
題:夏を感じる
海沿いの風光明媚な街。そこは夏になると観光客が押し寄せる有名な街です。
その美しい海に、地元の魚を使った美味しい料理。夏を快適に過ごすために必要な要素が全て揃っている。
そんな街に、私も立ち寄っています。
私が今いる場所は、向日葵の咲き乱れる公園です。
海の香り、向日葵の香りーー。
夏の匂い。
お題『夏の匂い』