題:吹き抜ける風
気持ちいい風が私の横を通り抜ける。とても暑い今の時期には丁度いい風。
全く、夏は暑すぎて嫌になる。チコ達も体調を崩しやすくなっているし。夏は大変だ。
ーーもう少し涼しくなってほしい。
本音を心の中で漏らす。これは誰もが思っているだろう。
「暑そうね」
「わっ」
不意に声を掛けられ、肩が跳ねた。後ろを振り返ると、ピーチさんが立っていた。
「日傘の中入る?」
「暑いので、お言葉に甘えて」
そう言って日傘の中に入れてもらった。日を遮るだけでもさっきよりも全然マシだ。
「あ、ピーチさん、今は王冠付けてないんですね」
「だって太陽の光を集めて熱くなるんだもの。自分の王冠触ってみなさいよ」
「そうですか……熱っ!」
「でしょ?」
なるほど。一つ知識が増えた。これから活用していこう。
「心地よい風のことを『青い風』って言うみたいよ」
「国語の問題ですか?」
「違うわよ、ただの豆知識」
「へぇ~」
じゃあ最初に吹き抜けていった風を『青い風』って言うのかな。確かにあれは心地よかった。
「では、天文台も暑いので、これからその『青い風』を天文台中に吹かせましょうか……」
「あら、良いわね。そうなったら遊びにいってもいいかしら」
「もちろん。待っていますよ」
また、『青い風』が私達の間を吹き抜けていった。
お題『青い風』
7/4/2025, 11:55:28 AM