題:夏の終わりまで
私は生まれて初めて、恋に堕ちました。
その相手は人気者で、誰にでも優しく、信頼されていました。
何度も告白しようと思いました。でも、勇気が出なかった。
私はよくその人と話していました。話す度、心臓がドキドキと煩くなるのです。
そして、友達から聞いたことなのですが、その人には好きな人がいるのだそうです。
もしかして私かも、という淡い期待もありましたが。
見てしまったのです。
その人は隣にいる美しい金髪の女性と、とても楽しそうに、少し頬を赤く染めて。話していたのです。
私は悟りました。
ーーああ、貴方の好きな人は、その方なのですね……。
胸が締め付けられるようでした。
でも、その人は本気であの方が好きなんだという現実は変わりません。
だから、私は……。
だから私は、その人を諦めました。早くあの方と幸せになれることを願って。
私の初恋は、秋に入る前に、終わりました。
お題『空恋』
7/7/2025, 8:55:07 AM