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11/18/2025, 8:00:48 PM

煤を掃除する度に、時間と記憶を捨てているようで不安になる。思い出しもしない日のことばかり想って、温もりも灯りも、その色も、どうでもよくなっているのだ。



『記憶のランタン』

9/17/2025, 4:46:40 PM

 僕は靴紐が結べなかった。

 自分から見て正面じゃないと、どうも蝶々結びが理解できなくて。

 けれど今の世は便利なもので、

 靴紐なんて無くたってそれっぽく履ける靴なんてたくさんあるし、結ぶ必要のないゴム紐だって、百十円で手に入る。僕のコンプレックスとも言うべき悩みは、硬貨二枚で容易く解決できてしまう。

 それでも、この世はまだまだ堅っ苦しくて。

 ピカピカの革靴の上で乱れた黒い、細い、ただの紐を

 僕は眺めて、祈るしかない。


 ほどけませんように。


 その願いも虚しく磨き上げられた床の上で奴らが乱れたとき、ふっ、と甘い匂いがする。

 蕩けるように微笑んで、僕の足元に膝をつく。

 その頭頂部に、柔らかな髪に、触れたい衝動を手元のワイングラスを握り込んで抑えるのだ。

 革越しの僅かな感覚と、締めつけられる指先の痺れ。

 それを見下ろす湿った視線に気づくはずもなく、小さく息を吐いて立ち上がった微睡み。


 僕が僕でなければ、その後を追えたのだろうか。



 つまらないことを、動けない足元に問う。



 『靴紐』

8/1/2025, 7:13:14 PM

毎日更新し続ける記録的猛暑も、歴史的観測も、

火傷しそうなほど熱の篭ったバッテリーも君は知らずに

眠っているんだろう。

関係ないって澄ましていたいんだろう。

叩き起こして引き摺り出して、目を丸くした君を見て、
腹の底から笑いたい。


「こんなの、聞いてないって!」


開口一番、元気いっぱいな地球への不満を僕にぶつけて君は空をずっと、じっと、



「こんな空なら、先に言ってよ。」



このまま地球が滅ぶまで

このままこうしていようかだなんて


そんな未来が、あったかもしれない。




『8月、君に会いたい』

7/25/2025, 5:51:25 PM

貴女の腕に刻まれた過去が

人か傷かはどうでもよくて

ただ貴女と夏を生きたい

傷ごと愛せる度量はないかもしれないけれど

私のエゴが、貴女と息をしていたい。




『半袖』

6/7/2025, 10:35:03 AM

 柔らかな肌に求め求められるのが、安心感だけならどれほどよかったのだろう。
 『大人』の想像力では、知りようもないことだ。



『夢見る少女のように』

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