『不条理』
ありえない。こんなことがあっていいのか。
それも大切な人の前で...こんなことが...
純粋な目をした君は
何が起こったかわからないって顔をしている。
それもそのはず。これは君にとっては当然のことなのだから。
それでも...唐突にやってきたそれは私には理解し難かった。
これを私はどう受け入れたらいい。
どうすればいいんだ...
ずっと悩む私を見て君はついに口を開く。
「ね、ねえ...そんなに
ご飯にシチューをかけたのが理解できなかった?」
語り部シルヴァ
『泣かないよ』
「じゃ、またいつか。」
いつもよりも腫れぼったい目をした君は
何も無かったように振る舞い、車の後部座席に乗り込んだ。
君がドアを閉めたと同時くらいに車は走り出す。
追いかける勇気も無いまま、僕が小さくなっていく車を
見えなくなるまで手を振りながら見送った。
数ヶ月前から言われてたことだ。
ごねても親の都合はどうしようもない。
それに連絡先まで交換してくれたんだ。
いつでも連絡できるさ。
そう自分に言い聞かせて部屋に戻り、
卒業アルバムを片付ける。
君が貸してくれなんて言ったから貸したけどまさかね...
そう思い卒業アルバムを開く。
後ろにある真っさらなページには君の文字だけが増えていた。
「連絡待ってるからね。泣いてないといいな。」
もちろん泣かないよ。
でも、泣いたって君には気付かれないよね。
あー...花粉症になっちゃったかな。
語り部シルヴァ
『怖がり』
昔からビビりだと周りに言われてきた。
実際怖いもんは怖い。
お化け屋敷とかホラー映画とか夜道とか...
他にも悪いニュース見た時に
この通りになっちゃうんじゃないかとか...
怖がりすぎだろって笑われるけど、
逆になんでそんなに平気なんだよみんな。
高校生になってやっと夜道は大丈夫になってきたけど、
新しく怖いものが出てきた。
...入学から仲良くしてくれた相手に
好意を抱いてしまってからの連絡の入れ方だ。
なんて返信しようか。
この関係が終わってしまうことを想像すると、
また怖くなってしまう。
語り部シルヴァ
『星が溢れる』
満開の星が降り注いで来そうなほど光っている。
溢れんばかりの星を見るとなんだか落ち着く。
あの星に包まれたい。
何かどうしようも無い時は部屋で
ミニサイズのプラネタリウムを光らせる。
いつもの部屋が魔法にかかったみたいで、
夢見心地な気分になれる。
宇宙に行けば、この星々をより綺麗に見れるかな...
部屋に移った星たちをボタン1つで消す。
部屋の明かりを付けて...
夢から醒めた。
気分は、随分と落ち着いた。
語り部シルヴァ
『安らかな瞳』
恋人はいつも何かを話す時は私の目をじっと見つめてくる。
目を通して心まで覗き込んでくるようだ。
それでも話す内容は楽しいし、
何より元気に話す恋人の姿が微笑ましい。
多分相手は無意識なんだろうけど、
それを嫌と感じたことも無いからこれからも言うことはない。
むしろ...この人の素敵な顔を
こんな間近に見られるなんてとても優越感がある。
逆に話を聞いてくれてる時は普段とは違って
どんなことも受け入れるような優しい顔をする。
...いつも恋人には敵わないな。
なんて思っていると優しい顔をした君は
また私の心を覗き込むように話しかけてきた。
語り部シルヴァ