語り部シルヴァ

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『泣かないよ』

「じゃ、またいつか。」
いつもよりも腫れぼったい目をした君は
何も無かったように振る舞い、車の後部座席に乗り込んだ。
君がドアを閉めたと同時くらいに車は走り出す。
追いかける勇気も無いまま、僕が小さくなっていく車を
見えなくなるまで手を振りながら見送った。

数ヶ月前から言われてたことだ。
ごねても親の都合はどうしようもない。
それに連絡先まで交換してくれたんだ。
いつでも連絡できるさ。

そう自分に言い聞かせて部屋に戻り、
卒業アルバムを片付ける。
君が貸してくれなんて言ったから貸したけどまさかね...

そう思い卒業アルバムを開く。
後ろにある真っさらなページには君の文字だけが増えていた。

「連絡待ってるからね。泣いてないといいな。」
もちろん泣かないよ。
でも、泣いたって君には気付かれないよね。

あー...花粉症になっちゃったかな。

語り部シルヴァ

3/17/2026, 10:47:36 AM