『過ぎ去った日々』
卒業式を終えて、
部活に入っていた人はそのまま部活での卒業式を...
ほぼ幽霊部員だった文化部の俺は屋上で夕焼け空を見ていた。
人が想像するような青春を俺は送ってこなかった。
学校行事に振り回され、
イベント事に盛り上がるクラスに振り回され...
なんだかずっと振り回されていたような気がする。
まあ、参加権がこちらにあったならすぐ帰っていただろう。
あっという間だった。
大人になったらこんな日々も後悔が募るんだろうか...
普段なら抱えるほどの花束を持つはずだっただろう両手は
空を掴み、開いた手には優しい春風が吹く。
...さようなら。最後の屋上での時間を終え、
いつも通り家に帰ることにした。
語り部シルヴァ
『お金より大事なもの』
この世は金でなんとかなる。
愛も、家族も、自由も。
全部金が解決してくれる。
綺麗事を言うやつらは
「お金では買えないものもある」
なんて言うだろう。けれど悲しいかな...
お金で自分を磨けば愛してくれる人ができる。
愛してくれる人が出来れば家族ができる。
お金があれば仕事をしないで済むほど自由な時間ができる。
お金が無ければ何も出来ない。
そう...お金より大切なものなんて、
現実世界には無いんだ。
語り部シルヴァ
『月夜』
夜の寒さは今日は非番のようで、
肌寒さの無い風が夜勤ながら春を届けに来ている。
良い夜だ。明日が休みでうまく寝付けなかったもので
散歩をしてみたが、すごく過ごしやすい気温だ。
静かな道を優しい風に吹かれてぼんやりした月が道を照らす。
心地よい。そういえばもう既に2月を終えて
3月に足を入れたのだった。
最近寒さが際立っていたからもう春が
目の前に来ていたのを忘れていた。
三寒四温。
そんな言葉がストンと落ちてきて、
この月夜の気候を体現するには相応しいものだった。
語り部シルヴァ
『絆』
どこかで親友が死んだ。
根拠は無い。ただなんとなく。
なんでかわからないけど、昔から一緒だったからか
相手が何してるかわかるほどに俺たちは仲が良かった。
この前電話してまたご飯でも食べて談笑しようと
言ったばかりなのに、あんまりだ。
...いや、もしかして死期を悟ったのかもしれない。
頭の良い親友なら何となくわかりそうだ。
今はただただこの直感が
嘘であって欲しいと願うばかりだった。
語り部シルヴァ
『たまには』
猛ダッシュも無駄になり、
ホームに着くやいなや電車は走り出してしまった。
この電車で帰らないと家に着く時間が少し遅れる。
少し。この違いが私にとっては大きい。
しかし行ってしまったものは仕方ない。
諦めてホームの椅子に座って待つことにした。
「あれ、先輩お疲れ様です。」
声をかけられて顔をあげると後輩が立っていた。
「珍しいですね。ホームで会うなんて。」
どうやら帰りの電車が一緒だったようで、
後輩は気づいてなかったらしい。
「こっちの電車ですよね?
一緒に帰れるなんてなんだか嬉しいです!」
先輩に可愛がられるタイプの後輩だから愛嬌がある。
...疲れていた気分も少し楽になるくらい。
こういうことがあるなら、
たまには1つ後でも悪くないかもしれない。
語り部シルヴァ