語り部シルヴァ

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11/22/2025, 10:09:43 AM

『紅の記憶』

ここは京都の嵐山。
四季のどれでも楽しめる不思議な山。
秋は特に紅葉が魅力的で、
山の涼しい気候と紅葉で色付いた風景が
マイナスイオンを感じさせてくれる。

たまたまそこで一緒に見ることになった人と
歩くのにもうってつけだろう。
道に迷ってしまったところをお手伝いさせてもらっているが
気晴らしに竹林を抜け紅葉を二人で見ながら歩く。
相手も最初こそ不安気な表情を浮かべていたが
次第に紅葉に目を輝かせていた。

気分転換も上手く行き目的地に辿り着けそうになのを見て
別れの挨拶をしようとしたら後日お礼がしたいからと
連絡先を交換して欲しいと頼まれた。

これも何かの縁。そう思い交換した。
なんて昔話をすると君は紅葉のように顔を染める。
これから告白するのだが君の顔はさらに赤くなるのだろうか。

語り部シルヴァ

11/21/2025, 10:47:42 AM

『夢の断片』

最近変な夢をよく見る。
モヤがひたすら何かをかき集めている。
手に取ってみても曖昧な存在なのか何かわからない。
そんな何かを何かが集めている。

「なあ、何してるんだ?」
問いかけても返事が無い。本当になんなんだ...
もう一度何かを手に取ってよく見る。
ガラスの欠片のようなそれは中で蠢く影がある。
これは...パンを焼いている人の影?
別の欠片を拾って見る。柔道をしている人の影...

誰かの将来の夢?
いや...この内容に覚えがある。
自分の...夢だ。

じゃあこのモヤはっ!?
肩らしき部分を掴むと存在がはっきりしてきた。
これは俺だ。

俺が今までに見た夢を形にしようとしていたんだ。

語り部シルヴァ

11/20/2025, 11:12:09 AM

『見えない未来へ』

弟が駄々こねてもお姉ちゃんがそれをあやし二人で笑う。
そんな微笑ましい二人を見ては君と目が合う。
目で会話するように君が何を考えてるかわかる。
家族仲睦まじい光景。

そこから目を逸らそうとすると足を掴んでくる。
弟が、お姉ちゃんが、君が...
"また置いていくの?"
三人から発せられる言葉に動けなくなる。
文字通り過去に縛られるとはこの事だろうか...

俺は家族よりも仕事を優先した結果全て失ってしまった。
そんな俺が幸せになっていいのか...
義父母の言葉もカウンセラーの言葉も心に刺さらない。

でも...今みんなの所へ行けば怒られてしまう。
そんな気もしてしまう。俺は、どうしたいんだ。
足を掴む三人をよく見ると自分に見えてきた。
声もなんだか自分の声のように...

そうか...そうだったんだ。
これはみんな俺だ。
家族を言い訳に動かない俺だったんだ。

強引に足に縛られた手を振り払う。また声が聞こえた。
"ずっと一緒だ。忘れることも離れることもない。"
そう答えて俺は軽くなった足腰を持ち上げて進み始めた。

まずは...みんなに感謝と謝罪の電話を入れないとだ。

語り部シルヴァ

11/19/2025, 11:08:24 AM

『吹き抜ける風』

何重にも重ねた厚着。
それも一枚一枚が保温効果抜群の装備。
それなのにどうしてか風は隙間を見つけては潜り込んでくる。
マフラーや耳あて、手袋をしても効果がないようで、
まるで貫いて来るような風は
私の中心からじわじわと熱を奪っていく。

...寒い。
次はカイロも準備しておかないと...
寒がりな私はどれだけ防寒対策をしても
脳裏に"寒い"と2文字がよぎる。

次カフェを見かけたらそこで避難しよう。
暖かいコーヒーでも飲んで体の芯をまた一から温め直そう。

語り部シルヴァ

11/18/2025, 10:16:27 AM

『記憶のランタン』

魔法で作り出したランタンに火が灯る。
ランタンが照らす光に包まれたと思ったら
懐かしい空間にいた。
ここは...学校かな。クラスメイトがいて、君がいて...
君...そうだ。君は...

「ありがとうございます。
おかげで妻のことを思い出せました。」
「どういたしまして。」

ランタンはそのまま空へと昇っていきふわっと消えた。
たまたま見つけた魔導書は
記憶のランタンを創造する魔法だった。
特にしたいことも無い私は
ランタンを使って人助けをしようと決めた。

また依頼が来た。
ランタンを灯して...

薄暗い山奥。人一人分のサイズの麻袋が土に...
あれ...これって...

「いやーどこ埋めたか覚えてなかったから助かった。
...ところで今の見たよな?」

気づいた時には棍棒を振りかぶったお客さんが
視界いっぱいに入った。

語り部シルヴァ

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