語り部シルヴァ

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11/15/2025, 10:15:44 AM

『木漏れ日の跡』

散歩で公園に来た。
道中に木の屋根でできた道を通る。
秋風に吹かれて揺れる葉の隙間から木漏れ日が差し込む。
茶色や黄色、緑の葉が木漏れ日に照らされ道が輝く。

少し足を止める。
自然の香りに涼しい秋風と木漏れ日で輝く道。
歩けば乾いた音で割れる枯葉...
五感が自然に包まれて心が洗われるようだった。

木漏れ日の跡に立つとスポットライトに
当てられたような気分にもなる。

今この瞬間、私は主人公になった気がした。

語り部シルヴァ

11/14/2025, 10:15:29 AM

『ささやかな約束』

「...おはよ。」
「おはよ!」
朝目が覚めたらいつも幼馴染が
ベッドに寝てる俺を見つめている。
晴れの日も雨の日も土日も...

「あのな...わざわざ毎日来なくてもいいんだぞ?」
「別に〜?無理してないよ。」
このやりとりもほぼ毎日。ほんとに飽きないな...
「じゃ、玄関で待ってるからね。」
そう言って俺の部屋から出ていった。
「もしかして...いや、まさかな。」


階段を降りていくとおばさんが声をかけてくれた。
「あ、いつもありがとね。朝ごはんは...食べてきたかな?」
「はい、いつもお気遣いありがとうございます。」
「こちらこそだよ〜!...あの子は約束忘れてると思うけど...
それでもやってくれるなんて本当ありがとう。」

昔交わした約束。
ねぼすけな君が困っていたから
僕が起こすよと言うと喜んでくれた。
そんな君の寝顔を見れるんだ。毎日来たくなるさ。

語り部シルヴァ

11/13/2025, 11:44:32 AM

『祈りの果て』

-神はいます。信じる者にこそ神は応じてくれます。-
見習いシスターの頃はよく言い聞かされた言葉。
私はそれを信じてその言葉をみんなに届けては
神を信じ毎日祈りを捧げてきた。
戦争が続く日々が早く終わるように。
少しでも多くの命が救われますように。

現実逃避のひとつだったのかもしれない。
思えば私は成り行きでシスターになった。
やりたいことも将来の夢も
こんなことになっていなければあったかもしれない。

祈りを捧げては自分を押し殺していた日々だった。
それに気づいたのはここが爆撃されたとき。
教会どころか村はほぼ壊滅。生き延びたのも私だけだった。
神はいたんじゃないのか。
信じれば応じてくれるんじゃないのか。

私はこんな地獄を願ってなんていない。
祈りを捧げていた日々を笑うように神は現実を見せてきた。
...バカバカしくなった。

私は久しぶりに声を上げて笑った。
爆撃が終わり静かになった村に私の声が響くほどに。

語り部シルヴァ

11/12/2025, 10:07:39 AM

『心の迷路』

「あのーすみません。予約していた○○です。」
「本日はお越しいただきありがとうございます。
入る前に事前説明と同意書の記入をお願いしておりますので
待合室にてお待ちください。」

最近話題になっている迷路。
ただの迷路ではなく人によって内容が変わっているらしい。
しかも迷路に入っている間は
何週間何ヶ月と経っている感覚なのに
迷路から出ると入ってから一分と経っていないらしい。

運営側の私達も詳しいことは知らされていない。
事前説明や同意書も迷いに迷って出られなくなっても
自己責任だという確認で、
そこで怖くなってリタイアする人も多い。

ただひとつわかることは、
ここの迷路から無事出られた人は
嘘のように晴れた顔をして出てくる。
だから心の迷路と巷で呼ばれている。

あなたも興味があればぜひお越しください。
きっと晴れやかな気分になることでしょう。
...無事出られたらの話ですが。

語り部シルヴァ

11/11/2025, 10:37:06 AM

『ティーカップ』

休みの朝。
いつもよりかは遅めに起きて朝一にコーヒーを入れる。
棚からティーカップを出して湯を沸かす。
その間に豆を挽く。

普段ならインスタントの粉で済ますけど休みだからこそ
こういう時間がすごく心が穏やかになる。
サーバーにフィルターをセットしてお湯を注ぐ。

ゆっくりとティーカップにコーヒーが満たされていく。
手間隙かけてやっと完成した一杯。

普段使わないティーカップに
普段しない豆挽きから作るコーヒー。
私の休みはこれから始まる。

語り部シルヴァ

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