『祈りの果て』
-神はいます。信じる者にこそ神は応じてくれます。-
見習いシスターの頃はよく言い聞かされた言葉。
私はそれを信じてその言葉をみんなに届けては
神を信じ毎日祈りを捧げてきた。
戦争が続く日々が早く終わるように。
少しでも多くの命が救われますように。
現実逃避のひとつだったのかもしれない。
思えば私は成り行きでシスターになった。
やりたいことも将来の夢も
こんなことになっていなければあったかもしれない。
祈りを捧げては自分を押し殺していた日々だった。
それに気づいたのはここが爆撃されたとき。
教会どころか村はほぼ壊滅。生き延びたのも私だけだった。
神はいたんじゃないのか。
信じれば応じてくれるんじゃないのか。
私はこんな地獄を願ってなんていない。
祈りを捧げていた日々を笑うように神は現実を見せてきた。
...バカバカしくなった。
私は久しぶりに声を上げて笑った。
爆撃が終わり静かになった村に私の声が響くほどに。
語り部シルヴァ
11/13/2025, 11:44:32 AM