『終わらない問い』
終わらない問いはなぜ生まれてなぜ議論するんだろうか。
僕の隣で小説を読んでいた君がふと呟く。
答えが出ないのは当然として、
過程を議論したいだけじゃないかな...
なんて答えると君はなるほどなあと
こちらを向かずページをめくる。
疑問や問題が出るのは当然だとして答えが
必ずあるとは限らないのは確かに不思議ではある...
なんたってこの世は科学などで解決できる時代になってきた。
なのに昔から未だに答えの出てない議題だってある。
ちなみに友人の読んでる小説の内容は『鶏卵のオリジン』
鶏が先か卵が先かというそれぞれの派閥が戦争を起こす物語。
...きっと結末はお互いが潰れるまで戦い続けるだろう。
語り部シルヴァ
『揺れる羽根』
随分と落ち着いてきた。
部屋はもう取り返しのつかないレベルだけど、
自分がしたことだ。仕方ない。
肩で息をするレベルで暴れてたみたいだ。
呼吸が荒い。というかどれだけの時間暴れてたんだろう。
それすらもわかってない。
とりあえずその場でへたりこんでゆっくりと
呼吸のペースを戻す。
雪のように積もった羽根は
そこに転がってる枕だったものの中身だろう。
あんな枕の中にこんなにも羽根が
詰まってたんだと冷静になって見ている。
また新しい枕を買わなきゃ。
些細な行動で周囲の羽根は揺れて舞う。
次はもっと丈夫な枕を買おうかな...
語り部シルヴァ
『秘密の箱』
オカルト研究部の僕らの部室には"あかずの箱"
と呼ばれる箱がある。
僕が入部した時から既に置かれていて先輩曰く
「部長が入部した時には既にあって、
先輩からも開けるなと釘を刺された」らしい。
実際人がいない時に興味本位で触ってみたが
開きそうになかった。
高い場所にあり椅子を使わないと届かない。
どこにでもありそうな缶のような箱。
取ってつけたような南京錠。開けるのは無理かもしれない。
だがこの前部長がその箱をいじっているのを見た。
部長は何か知っている...?
部長が帰ったあとにもう一度箱を調べてみた。
鍵がかかって...いなさそうだ。
恐る恐る開けようとすると部長の大きい声が部室内に響く。
「だめっ!!」
驚いた拍子に椅子から転げ落ちた。
なんとか怪我はなかったが、周りにお菓子が散らばっていた。
「...バレちゃったか。」
先輩は片手で顔を覆う。秘密の箱は甘い味で満たされていた。
語り部シルヴァ
『無人島に行くならば』
"無人島に行くならば何を持っていく?"
似たような質問をどこかで聞いた事がある気がする。
だいたいの人は水だったりナイフだったり
日常的に必須な物をひとつ選ぶだろう。
僕ならなんて答えるかな...
色々あって迷ってしまう。
そうだな...僕もサバイバルナイフとかがいいかな。
なんで今思い出したんだろう。
目が覚めて一番最初に思ったことがこれだ。
漣の音、白い砂浜、知らない植物の山。
漂着してしまったようだ。
サバイバルナイフ...欲しかったなあ。
現実は残酷で何も持たないまま無人島サバイバルが始まった。
語り部シルヴァ
『秋風🍂』
「さむっ」
急に吹き出す風がやたらと冷える。
少し前まで風よ吹けと願っていたのに
今じゃ止んでくれと願うばかり...
色褪せた枯葉が風に吹かれて乾いた音で地面を走る。
つま先から芯まで一気に冷やされるような風は
冬服の温かさを想起させる。
あー...あったかいココアが飲みたい。
そんなこと思いながら歩いていると自販機を見つけた。
持ち合わせがちょうどあったからココアを買う。
プルタブを開けた瞬間優しい甘さが鼻に届く。
早速一口...
じんわり体に広がる温もりを秋風が冷まして
またココアを飲む...
帰るまでにココアが無くなりそうだ。
ココアで暖を取りながら歩く。
枯葉が一枚、また一枚と秋風に吹かれながら
地面を走って僕を追い抜いた。
語り部シルヴァ