『予感』
"話したいことがあるんだけど"
ニコニコしていた口角が下がっていく。
さっきまで胸らへんにあった暖かった感覚が一気に冷める。
今の時期のように熱が奪われていく気がした。
嫌な予感しかしない。
少し震える手で一文字一文字打ち込む。
"どうしたの?"
そう返信すると既読が付きすぐに通話画面へと切り替わる。
心臓が跳ねる。深呼吸を2、3回ほどして電話に出る。
「も、もしもし...?」
君の話を聞いてまた温度が逆転したのは別の話。
語り部シルヴァ
『friends』
自慢じゃないが私には最高の友達がいる。
ゆうたろうは図体が大きいけど心優しい。
えんすけは足が早い人気者。
みやこは美人でみんな見惚れる。
みんな個性があってみんな大好きだ。
みんな優しくてみんなあたたかい。
みんなとずっと一緒に生きていきたい。
みんなを抱きしめる。
みんな逃げずに私のわがままを受け入れてくれる。
今日も一緒に部屋で日向ぼっこ。
明日も一緒。ずっと一緒。
語り部シルヴァ
『君が紡ぐ歌』
「〜♩」
情に訴えかける歌詞、
それに感情をさらに上乗せするような静かで熱の篭った声。
前よりもファンが増えたのか
アップロードされたばっかりなのにコメントや
高評価数が増えてるような気がする。
順調そうだ。
だが予想通りコメント欄には
"〇〇じゃない気がする。"といくつか書かれている。
こういう時の勘が鋭い人は恐ろしい。
君は大丈夫だろうか。
音楽活動家だった兄を失い、
兄の名を名乗って意志を引き継ぐと決意していた君。
君の決意は歌となって世界に広がっていく。
きっと...いつかは君の歌となるだろうけど、
それが君が紡ぐ歌なんだ。
語り部シルヴァ
『光と霧の狭間で』
雨上がりの早朝。
やけに肌寒いせいか目が覚めた。
今日は休みだし...と思い普段着に
一枚上に羽織り近くの公園まで歩く。
公園は足が飲まれるくらいの濃い霧が出ていた。
陽が出てないのもあって随分と不気味な雰囲気だ。
幸い舗装された道の端からライトアップされてるおかげで
道の輪郭はハッキリとわかるからつまづくことは無さそうだ。
空は微睡んでみんなまだ寝ている公園は
どこか不気味で神秘的な空間になっていた。
なんだかいつもと違う世界に来たみたいでドキドキする。
いい経験をした。
これ以上は体を冷やしてしまうかもしれないから帰ろう。
帰って温かいココアでも飲もう。
語り部シルヴァ
『砂時計の音』
砂時計をひっくり返す。
特に何かを測るわけじゃない。
勉強中ふと目に映り無性に気になって仕方なかった。
多分集中力が切れたんだろう...
机に頬を付けながら落ちていく砂を見つめる。
これが全部落ちるまで...そう思いながら...
ものすごく小さくサラサラと流れる音が聞こえる。
集中して聞かないと聞こえないくらい。
...勉強もこれくらい集中出来ればいいんだけど。
こうなってしまったら少しは休憩を入れないと
復活しないだろう。
砂時計の砂が全て落ちた。
よし、勉強やーめた。
コーヒーが飲みたくなったから
台所へコーヒーを淹れに行った。
語り部シルヴァ