『未知の交差点』
スマホの地図アプリを確認する。
次の信号を右に...
慣れない革靴とまだ日中が暑い中
スーツを着て中が少し汗ばんでいる。
周りが内定をもらって人生謳歌してる一方で
なにもできていない自分に焦りを覚えている。
それでも自分のやりたいことがわかってないせいで
上手くいっていないのが現状だ。
家から遠ければ遠いほど、
知らない場所へ向かうのは革靴のせいもあって足が重い。
ここまで来ても帰りたいと思う気持ちが強い。
それでも人より遅れてる現状は変わらない。
初めて来た交差点。
アプリで改めて道を確認する。
気を抜けば迷子になりそうな都会に目が回る。
こんな所で躓いている場合じゃない。
ネクタイと気を締め直して青信号と共に歩き始めた。
語り部シルヴァ
『秋恋』
本気で恋する予定は無かった。
ずっと人肌恋しかった。寂しかった。
だから空いた穴を埋める"何か"が欲しかった。
いい感じに会話が弾んでいい感じで会話が続く。
友達以上恋人未満ってこんなに心地いいもんなんだ。
ずっとこんな関係が続けばいいのに...
なんて思っていた。
飽きたら本気の恋を探しに行く予定だった。
今じゃ離れて欲しくない。そう思ってしまう。
惰性の関係が本命になってしまった。
こんなこと君に知られたら
それこそこの関係は終わってしまう。
せっかく見つけた本命の恋がこんなにも絶望的なのは
今までのツケが回ってきたのかな。
語り部シルヴァ
『愛する、それ故に』
ふと目が覚めた。喉に違和感があったから水を飲みに行く。
ついでにトイレも済ませて戻ってくる。
ゆっくりと動いたおかげか布団の中の彼氏は
ぐっすり眠っていた。
寝てる姿もかっこいい...とうっかり惚れそうになる。
いやもうゾッコンかもしれない。
はだけた布団を直しつつ隣に寝転ぶ。
ああ...幸せだなあ。
愛する人がいて同じ時間と温もりを共通できるなんて。
君と出会うまでこんなこと経験できるとは思ってなかった。
...だからこそ怖い。
君がいなくなったら私は絶望するだろう。
嫌なことは考えたくない。
君を起こさないようにゆっくりと動き、
もっと君の体温を感じるためピッタリくっついた。
優しい温もりが安心感と眠気を誘い、
そのまま眠りについた。
語り部シルヴァ
『静寂の中心で』
人は本当に驚くと声が出ないとはよく言うもんだ
クラスメイトの視線を感じる。
全員いるはずなのにずーっと静かだ。
全員が僕ともう一人を囲んで僕を晒し者にしてたんだ。
さっきまで和気あいあいとしてたいじめっ子も
やめなよといいつつからかう腰巾着も声が出ない。
僕だって実感が湧いた数分が20分くらいかかった気がした。
広がる血溜まり、生暖かい手の感覚、
天井の電灯が反射して眩しいナイフ。
まるでスポットライトに当てられてる気分だ。
今、どれくらい経っただろう。
未だ誰一人声を出せない空間が続く。
太陽に照らされるホコリが視界にチラホラと浮いている。
次の授業はなんだっけ。
そんなことを考えていると息をすることを忘れていた。
呼吸をする。鉄棒の匂いが脳を刺した。
語り部シルヴァ
『燃える葉』
ぱちぱちと燃え上がる炎が揺らめいている。
小さな炎とはどうしてこうも見入ってしまうものか...
周囲は真っ暗で燃やした炎だけがぼんやりと照らす。
葉っぱが1枚1枚燃えて鮮やかな緑や橙色が
瞬く間にして黒くなる。
燃えて黒くなった葉は闇に飲まれていく。
顔が少しずつ暖かいを超えて熱さを感じる。
熱いけど...眠気を誘う熱さだ。
前が熱い分背中が熱を奪われて寒さを伝う。
どれ...もう焼けただろうか。
燃える葉っぱの山へ棒切れを突き刺す。
手応えがあって棒切れを山から引っ張り出す。
巻きついたアルミホイルを
火傷しないように剥がして半分に割る。
揺らめく炎のように輝く焼き芋の完成だ。
語り部シルヴァ