『moonligt』
ススキが揺れる。
秋風が吹く。
優しい明かりが全てを照らす。
どうしてだろう。こんな晴れた日には無性に飛びたくなる。
ほんと、気持ちが軽くなるって感じ。
誰かが跳ねる。それを見てまた誰かが跳ねる。
ぴょんぴょん飛んで心が踊る。
踊る心がみんなを沸き立たせる。
ここまで来たらやることはひとつ。
宴だ。餅をついて色んな大福を作って
みんなで食べよう。
心がもっと踊るはず。
語り部シルヴァ
『今日だけ許して』
君はいつだってそうだ。
どんなことにも全力で。がモットーな君は
いつだって全力で取り組む。
そんな姿勢が好きだ。
もちろんそんな君にも嫌いなことはあるし
その嫌いなことには君は少し躊躇う。
そんな時は心を鬼にして君を応援するけど...
今回は一筋縄じゃいかなさそうだ。
「今日はやったの?」
「う...ま、まだデス...」
「僕も手伝うからさ、始めようよ。」
「いや〜?今日は筋肉痛で明日からなら...?」
「そう言って昨日マッサージしてあげて少しは動けてるでしょ?」
「う...お願い今日だけは!明日!明日からほんと全力で!」
二人で始めたダイエット。
目標はまだまだ先の話になりそうだ。
語り部シルヴァ
『誰か』
明るく眩しい画面を薄目で見る。
メッセージリストには通知が1件もない。
いつもの事だ。
最近眠れない夜を過ごしている。
薬も貰ったがあまり効果がない。
次はもっと強めの薬をもらおう。
誰かいないかな〜
タイムラインを漁っても知らない人たちが
既に親しい仲であろう人と会話が弾んでいる。いいなあ。
他人を見よう見まねでSNSの海に流す。
...数十分経っても誰も来なかった。
こんなにいるのに誰も私のもとにやってこない。
「...誰か。」
スマホをぎゅっと握る。
虚しくなってきてスマホの電源を落とす。
真っ暗な空間だけが私の周囲にいてくれた。
語り部シルヴァ
『遠い足音』
君の足音が小さくなっていく。
もう私の手は届かない。
もっと一緒にいたかった。
おはようもおやすみもまた明日もやってこない。
まだやりたいこといっぱいあったよ。
視界が滲む。
最後まで君を見たかったのによく見えない。
"行かないで"
言葉も喉に詰まる。
明日からはいつも通りの私になるから
今だけは...この感情に任せて涙を出し切りたい。
パンザマストから夕方の時報が鳴り響く。
私の嗚咽した声も君の足音も思い出も全てかき消すように
静かに、大きく鳴り響く。
語り部シルヴァ
『旅は続く』
ご飯を食べ終えてコーヒーを飲んで一息つく。
今日はそろそろ街に付けるといいけど...
地図を開いて現在地と次の目的地の街を見比べる。
...うん。行けそう。
残りのコーヒーを一気に飲み干して思い切り伸びをする。
この時期の朝は少し肌寒いけど空気が美味しい。
変に早く目覚めちゃったけどいい気分。
こういう野宿は悪くない。
っと、そろそろ準備しないと。
荷物をまとめて出発の準備を始める。
ものを片付けて焚き火の火を消して...
自分が野宿を始めたときよりも綺麗になったのを確認して
もう一度大きく伸びをして 街への一歩を踏み出した。
語り部シルヴァ