『静寂の中心で』
人は本当に驚くと声が出ないとはよく言うもんだ
クラスメイトの視線を感じる。
全員いるはずなのにずーっと静かだ。
全員が僕ともう一人を囲んで僕を晒し者にしてたんだ。
さっきまで和気あいあいとしてたいじめっ子も
やめなよといいつつからかう腰巾着も声が出ない。
僕だって実感が湧いた数分が20分くらいかかった気がした。
広がる血溜まり、生暖かい手の感覚、
天井の電灯が反射して眩しいナイフ。
まるでスポットライトに当てられてる気分だ。
今、どれくらい経っただろう。
未だ誰一人声を出せない空間が続く。
太陽に照らされるホコリが視界にチラホラと浮いている。
次の授業はなんだっけ。
そんなことを考えていると息をすることを忘れていた。
呼吸をする。鉄棒の匂いが脳を刺した。
語り部シルヴァ
10/7/2025, 10:54:04 AM