語り部シルヴァ

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10/8/2025, 11:16:35 AM

『愛する、それ故に』

ふと目が覚めた。喉に違和感があったから水を飲みに行く。
ついでにトイレも済ませて戻ってくる。
ゆっくりと動いたおかげか布団の中の彼氏は
ぐっすり眠っていた。

寝てる姿もかっこいい...とうっかり惚れそうになる。
いやもうゾッコンかもしれない。
はだけた布団を直しつつ隣に寝転ぶ。

ああ...幸せだなあ。
愛する人がいて同じ時間と温もりを共通できるなんて。
君と出会うまでこんなこと経験できるとは思ってなかった。

...だからこそ怖い。
君がいなくなったら私は絶望するだろう。
嫌なことは考えたくない。

君を起こさないようにゆっくりと動き、
もっと君の体温を感じるためピッタリくっついた。
優しい温もりが安心感と眠気を誘い、
そのまま眠りについた。

語り部シルヴァ

10/7/2025, 10:54:04 AM

『静寂の中心で』

人は本当に驚くと声が出ないとはよく言うもんだ
クラスメイトの視線を感じる。
全員いるはずなのにずーっと静かだ。

全員が僕ともう一人を囲んで僕を晒し者にしてたんだ。
さっきまで和気あいあいとしてたいじめっ子も
やめなよといいつつからかう腰巾着も声が出ない。

僕だって実感が湧いた数分が20分くらいかかった気がした。
広がる血溜まり、生暖かい手の感覚、
天井の電灯が反射して眩しいナイフ。
まるでスポットライトに当てられてる気分だ。

今、どれくらい経っただろう。
未だ誰一人声を出せない空間が続く。
太陽に照らされるホコリが視界にチラホラと浮いている。

次の授業はなんだっけ。
そんなことを考えていると息をすることを忘れていた。

呼吸をする。鉄棒の匂いが脳を刺した。

語り部シルヴァ

10/6/2025, 10:49:18 AM

『燃える葉』

ぱちぱちと燃え上がる炎が揺らめいている。
小さな炎とはどうしてこうも見入ってしまうものか...
周囲は真っ暗で燃やした炎だけがぼんやりと照らす。

葉っぱが1枚1枚燃えて鮮やかな緑や橙色が
瞬く間にして黒くなる。
燃えて黒くなった葉は闇に飲まれていく。
顔が少しずつ暖かいを超えて熱さを感じる。

熱いけど...眠気を誘う熱さだ。
前が熱い分背中が熱を奪われて寒さを伝う。

どれ...もう焼けただろうか。
燃える葉っぱの山へ棒切れを突き刺す。

手応えがあって棒切れを山から引っ張り出す。
巻きついたアルミホイルを
火傷しないように剥がして半分に割る。

揺らめく炎のように輝く焼き芋の完成だ。

語り部シルヴァ

10/5/2025, 10:44:47 AM

『moonligt』

ススキが揺れる。
秋風が吹く。
優しい明かりが全てを照らす。

どうしてだろう。こんな晴れた日には無性に飛びたくなる。
ほんと、気持ちが軽くなるって感じ。
誰かが跳ねる。それを見てまた誰かが跳ねる。

ぴょんぴょん飛んで心が踊る。
踊る心がみんなを沸き立たせる。

ここまで来たらやることはひとつ。
宴だ。餅をついて色んな大福を作って
みんなで食べよう。

心がもっと踊るはず。

語り部シルヴァ

10/4/2025, 10:38:14 AM

『今日だけ許して』

君はいつだってそうだ。
どんなことにも全力で。がモットーな君は
いつだって全力で取り組む。
そんな姿勢が好きだ。

もちろんそんな君にも嫌いなことはあるし
その嫌いなことには君は少し躊躇う。
そんな時は心を鬼にして君を応援するけど...
今回は一筋縄じゃいかなさそうだ。

「今日はやったの?」
「う...ま、まだデス...」
「僕も手伝うからさ、始めようよ。」
「いや〜?今日は筋肉痛で明日からなら...?」
「そう言って昨日マッサージしてあげて少しは動けてるでしょ?」

「う...お願い今日だけは!明日!明日からほんと全力で!」

二人で始めたダイエット。
目標はまだまだ先の話になりそうだ。

語り部シルヴァ

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