『コーヒーが冷めないうちに』
カフェで休憩中。一目惚れをした。
どんな人かわからない。
何が好きで何を飲むのか。
それでも私はこの人と話をしたくなった。
でも、話しかけれ引かれたらどうしよう?
でも、話しかけないと絶対後悔する。
頭の中で「でも」が論争を起こす。
今日はオシャレをしてるけど相手から見たらどうだろう...
次会えるのはいつだろう...
そう思いながら落ち着くためにコーヒーを一口。
さっき飲んだ時よりも温くなっていた。
よし、行こう。この熱が冷めたら終わりだ。
ゆっくりと席を立ち歩きながら呼吸を整える。
あ、あの!!
語り部シルヴァ
『パラレルワールド』
『やっば!遅刻遅刻!』
「ちょっとー!朝ごはんは〜!?」
『今日はいい!じゃ、行ってきます!』
「あっ靴紐が...」
「仕方ないこれで行こう!」 「念の為に結んで...」
「急げ!あっ...」 「よし、行くぞ!」
「あっぶな...やけにとばすトラックだな...」
「ってまずいまずい。急がないと!」
語り部
『時計の針が重なって』
夢でも見ていたようだ。
みすぼらしい衣服を纏ってお姉様たちの手のひらで踊る日々。
そんなある日お姉様たちが舞踏会に行ってしまった。
私も参加したかったけど、
残念ながら相応しいドレスを持っていなかった。
けれど魔法使いが私に素敵なドレスをくれた。
舞踏会に間に合ったものの、
踊る相手がいなくてただただ立つことしかできなかった...
けれど一人の男性が私に手を差し伸べてくれて二人で踊った。
沢山の人が私たちを見ていたかもしれない。
それでも私は一緒に踊ってくれたこの人しか
見れなかった気がする。
このままずっとこんな時間が続けばいい。
そんな夢も覚めてしまいそうで、私はその場から逃げ出した。
時計の針が重なって魔法が解けてしまう前に...
語り部シルヴァ
『僕と一緒に』
いつだって君は泣き虫だ。
メソメソすんなよと笑顔で肩を軽く叩くと決まって
「だって、でも、」なんて言う。
ウザったいとか思う人もいるだろうけど
君は昔からそうだから僕は全然気にしない。
それに、なんだかんだ君は僕と一緒がいいって言う。
そんなこと言われたら庇護欲?だっけか。
そんな感情も芽生えてしまうもんだ。
でもきっと疚しい気持ちがなかったら
君を助けもしないのかと言えば違うだろう。
僕も君と一緒がいい。
だから君も僕と一緒にこれからも進もう。
優しく微笑みながら君に手を差し出す。
僕の手を掴む君を見て悪戯げに「甘えん坊だなあ」
とからかってやる。
君は顔を真っ赤にしながらも繋いだ手を離す気配はなかった。
語り部シルヴァ
『cloudy』
目が覚めて飛び起きる。
きっと遅刻している。
スマホで時間を確認した瞬間全てを諦めた。
...まさかの全蹴り。
友達からのメッセージや電話が山ほど来ていた。
ちゃんと起きろよ自分...
暑さで起きるとかさ...
そう思いながらカーテンを開けて天気を確認すると
分厚い雲が空を覆っていた。
開けた窓から吹く風は涼しいし
お昼過ぎなのに暑さを感じない。
もう残暑も終わりそうだ。
やっと涼しくなると思う一方自分の力で
ちゃんと起きないと行けないと思うと気が滅入る。
いや大学生なんだからひとりで起きろよって話だけども...
授業は間に合わなかった。
とりあえず連絡をくれた友達全員返すことにした。
語り部シルヴァ