『虹の架け橋🌈』
あれ、ここはどこだ?
さっきまで昼寝をしていたはずなんだけどなあ...
足元は短い草が足をくすぐってくる。
風は春みたいな優しくて眠気を誘うように吹いてる。
でも家のベッドがいいなあ...
よし、探しに行こうか。
伸びをして歩き始める。
キョロキョロと周囲を見渡しながら歩く。
家族のみんなはどこだろう...みんなは家にいるといいな。
しばらく歩いていると見たことの無い橋がかかっていた。
虹色だ...絵本とかで見せてもらったあれに似てる。
この先にみんないるかな...
たたたと走り出して虹の架け橋を一気に駆け抜けた。
みんながいるかもしれないと思うと
揺れる尻尾が止まらなかった。
語り部シルヴァ
『既読がつかないメッセージ』
トーク画面を開く。
今日も既読は付いていない。
やっぱり...内心期待はしてなかった。
けれどもしも来てたらどれだけ嬉しいことだろう。
ふわふわと浮かび携帯を胸にギュッと当てる。
そのままくるくると回っていると壁に頭をぶつけた。
...痛い。
他のみんなはまだ寝てる。
私も眠たいけどやっぱり君からのメッセージが
来るかもしれないって思うと眠れない。
窓に目をやる。
青い地球に大きなクレーター。
君は生きてるよね?私たちは奇跡的に生きてるよ。
食料が尽きたらそこで終わりだけど。
...このまま既読がつかないことは考えないよ。
こんな状況でメッセージに
既読がついて欲しいって願うのはワガママなのかな。
語り部シルヴァ
『秋色」
寒さで目が覚めた。
最近クーラーを付けず窓を開けていたが今日は寒かった。
くしゃみを一回して今日は汗で
ベタついていないことに気づいた。
結局はシャワーを浴びるけどいつもよりかは目覚めがいい。
カーテンを開けると綺麗な青空が広がっていた。
さすがに日中は暑いかもしれない...
けれどゆっくりと秋に塗り変わっていってるようで
少しだけ明日が来るのが楽しみになる。
窓に近づくと網戸越しにひんやりと冷気を纏う風が
少しだけ吹いている。
早く秋色に染まって欲しい。
優しい日差しの下でのんびり散歩でもしてみたいから。
風に当たって目が冴えてきた。
はっとして時計を見ると時間が迫っていた。
急いでシャワーを浴びなきゃ。
そうやってドタバタする1日が今日も始まった。
語り部シルヴァ
『もしも世界が終わるなら』
"もしも世界が終わるなら"
誰しもが一度は考えてしまうことだろう。
きっと法律とか政治とか自分を守ってくれたものは
全部無駄になって隣のコンビニじゃ
みんな好き勝手商品を持っていくだろうし
道路は交通事故で大渋滞。
自分の家にいれば安心...
という訳にもいかず強盗が入ってくるだろう。
そんな自由のない自由な世界で何ができるだろう。
君にも会いに行けるだろうか。
好きな人に告白すれば実るだろうか。
...こんな時でも何も思い浮かばないなあ。
あー...予習しておくべきだった。
外では近くで爆発が起きたようで
部屋や窓が振動した。
語り部シルヴァ
『靴紐』
少しだけおしゃれしてみた。
真っ白な靴の真っ白な靴紐を黒に変えてみた。
黒色がアクセントになってすごく良くなった気がする。
今まで靴紐なんかに目もくれなかったのになあと思いながら玄関を開ける前に持ち物を確認する。
服装は...どう足掻いてもセンスが光ってしまう。...悪い意味で。
それでも人に会う用の服の中じゃ1番マシだ。
よし、行こう。
玄関を開けるために1歩進もうとした。
緩い靴紐が気になって気を引き締めるようにしっかりと靴紐を結んだ。
...よし、行こう。
家から出るだけで心臓が高鳴る。
君に会う頃にはどうなってるんだろうか。
靴紐を強く結びすぎたかもしれないな。
全身ガチガチだ。
語り部シルヴァ