『時計の針が重なって』
夢でも見ていたようだ。
みすぼらしい衣服を纏ってお姉様たちの手のひらで踊る日々。
そんなある日お姉様たちが舞踏会に行ってしまった。
私も参加したかったけど、
残念ながら相応しいドレスを持っていなかった。
けれど魔法使いが私に素敵なドレスをくれた。
舞踏会に間に合ったものの、
踊る相手がいなくてただただ立つことしかできなかった...
けれど一人の男性が私に手を差し伸べてくれて二人で踊った。
沢山の人が私たちを見ていたかもしれない。
それでも私は一緒に踊ってくれたこの人しか
見れなかった気がする。
このままずっとこんな時間が続けばいい。
そんな夢も覚めてしまいそうで、私はその場から逃げ出した。
時計の針が重なって魔法が解けてしまう前に...
語り部シルヴァ
『僕と一緒に』
いつだって君は泣き虫だ。
メソメソすんなよと笑顔で肩を軽く叩くと決まって
「だって、でも、」なんて言う。
ウザったいとか思う人もいるだろうけど
君は昔からそうだから僕は全然気にしない。
それに、なんだかんだ君は僕と一緒がいいって言う。
そんなこと言われたら庇護欲?だっけか。
そんな感情も芽生えてしまうもんだ。
でもきっと疚しい気持ちがなかったら
君を助けもしないのかと言えば違うだろう。
僕も君と一緒がいい。
だから君も僕と一緒にこれからも進もう。
優しく微笑みながら君に手を差し出す。
僕の手を掴む君を見て悪戯げに「甘えん坊だなあ」
とからかってやる。
君は顔を真っ赤にしながらも繋いだ手を離す気配はなかった。
語り部シルヴァ
『cloudy』
目が覚めて飛び起きる。
きっと遅刻している。
スマホで時間を確認した瞬間全てを諦めた。
...まさかの全蹴り。
友達からのメッセージや電話が山ほど来ていた。
ちゃんと起きろよ自分...
暑さで起きるとかさ...
そう思いながらカーテンを開けて天気を確認すると
分厚い雲が空を覆っていた。
開けた窓から吹く風は涼しいし
お昼過ぎなのに暑さを感じない。
もう残暑も終わりそうだ。
やっと涼しくなると思う一方自分の力で
ちゃんと起きないと行けないと思うと気が滅入る。
いや大学生なんだからひとりで起きろよって話だけども...
授業は間に合わなかった。
とりあえず連絡をくれた友達全員返すことにした。
語り部シルヴァ
『虹の架け橋🌈』
あれ、ここはどこだ?
さっきまで昼寝をしていたはずなんだけどなあ...
足元は短い草が足をくすぐってくる。
風は春みたいな優しくて眠気を誘うように吹いてる。
でも家のベッドがいいなあ...
よし、探しに行こうか。
伸びをして歩き始める。
キョロキョロと周囲を見渡しながら歩く。
家族のみんなはどこだろう...みんなは家にいるといいな。
しばらく歩いていると見たことの無い橋がかかっていた。
虹色だ...絵本とかで見せてもらったあれに似てる。
この先にみんないるかな...
たたたと走り出して虹の架け橋を一気に駆け抜けた。
みんながいるかもしれないと思うと
揺れる尻尾が止まらなかった。
語り部シルヴァ
『既読がつかないメッセージ』
トーク画面を開く。
今日も既読は付いていない。
やっぱり...内心期待はしてなかった。
けれどもしも来てたらどれだけ嬉しいことだろう。
ふわふわと浮かび携帯を胸にギュッと当てる。
そのままくるくると回っていると壁に頭をぶつけた。
...痛い。
他のみんなはまだ寝てる。
私も眠たいけどやっぱり君からのメッセージが
来るかもしれないって思うと眠れない。
窓に目をやる。
青い地球に大きなクレーター。
君は生きてるよね?私たちは奇跡的に生きてるよ。
食料が尽きたらそこで終わりだけど。
...このまま既読がつかないことは考えないよ。
こんな状況でメッセージに
既読がついて欲しいって願うのはワガママなのかな。
語り部シルヴァ